お仕事 ページ6
「我は神だ。1人でこの社に暮らし、何千年も人を見てきた。しかし、あの娘はそんな中でも特殊な存在だった。いくら人に化けたとしても、神から放たれるオーラにより、人は我々を嫌う。貴様らのような奴らは別だがな」
確かに。僕達は家庭から特殊だし、生い立ちも色々あったのでね。
兄「だからこそ、神様は人を好まないと思っていました。人は、自分勝手で醜い生き物です。自分らの欲のため、神に祈り、頼りにしてしまいます。しかし、神から近づこうとすると、神を異質な者と捉え拒絶する。だからこそ、神様は御自分からは人に近づこうとしないのでしょう?」
同じ人間でありながら、人の黒い部分というのは嫌になりますからね。そういった感情に敏感な神様は、人を嫌う。よくある話ですね。
「そうだ。だからこそ、我も人と交友を持とうなど思っていなかった。しかし、あの娘、、、百華は驚くほど優しく、穏やかな人間であった」
なんとなく、この神様が言いたいことがわかる気がしますね。蔵持さんの魂は澄んでいて、綺麗でした。魂やオーラは人の性格をよく表してくれる。
「あんな奴は、何百年に1人しか見られぬ存在だ。いくら人を嫌う我々神でも、あのような者には興味を示す。そして、守ってあげる必要があるのだ」
守る、か。もしかして、このお守りというのは、、、
「そのお守りは大分効力が切れておるから、持っていても意味はないに等しい。それは、邪気を祓う力、そして我の加護を込めて作った代物だ」
僕の手にあったお守りは光り、神様の元へと浮かんでいった。成る程。だからあんなに強く神気を感じられたんですね。妖を追い払うには、神の妖力とオーラが適しているから。
「さぁ、次はこちらの質問に答えて貰おう。何故、百華は我に会いたがっているのだ」
兄「それは、言えません。僕達にも、守秘義務が御座います。これは、我々が情報屋を営む上で、信頼を勝ち取るために必要なことです。ですが、僕達から言えるのは決して悪い事ではない、素直に祝福される事です。そして、蔵持さんは貴方にとても会いたがっていることです」
正直、彼女が結婚する事を伝えても良い。なんなら、蔵持さんからの許可を得ています。しかし、この神様が蔵持さんに会う理由を作らなくてはなりません。その為に、少々嘘をつかせて貰いますよ。
「そうか。だが、我は彼奴の元へは会いに行けぬ」
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作者名:犬塚みかこ | 作成日時:2023年1月9日 20時