Algún día seré tu príncipe/2 ページ20
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「 おはよう、Aちゃん 」
「 ……っえ 」
学年が違う僕達は、挨拶を交わしてから教室に向かうのが日課のようになっていた。明くる朝、その習慣を崩さないように声をかけた僕に、彼女は戸惑ったように顔を顰める。
「 え? 」
「 あ、えっと、おはようございます 」
うん、また1日が始まる。笑顔を返してくれた彼女に安堵した。胸の中で何かが疼く。いいや、いつもと何ら変わらない。違和感は見て見ぬ振りをし、平然と歩く。何も、違わない朝だ。爽やかで、天気が良くて なんて考えながら外を見れば西の方から怪しい雲が迫ってきていた。
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王子様というのは、敬人とか、渉みたいな人間のことを言うのだろう。僕みたいな人間とは似ても似つかない。王子様の足の裏に張り付いた影にすらなれないから。マイナスな気持ちを抑えて、腕を組み前を向いた。外では風が強く吹いていた。先程の雲はやはり雨を降らせ、然し早々に去っていったのだ。曇ったままの外は空気すら湿り気を帯びていた。虹なんて架からない。ただただ黒い雲が流れてゆくだけ。
「 ……可笑しいな 」
次のライブの打ち合わせをするはずの彼女が、姿を見せない。連絡も入っていないし、どうしたのだろう。約束事は何としてでも守る彼女。何処かで、困っているのではないか。倒れていたら、なんて最悪の事態を想像してしまって、思い切り立ち上がった。
それに合わせたかのように扉が開く。安心して「 待ってたよ 」と口に出したにも関わらず、顔を見せたのは彼女ではなかった。
「 英智、話がある 」
「 ……何だい 」
お節介な幼馴染。
君がそんな顔をしているなんて、何か。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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