ブライダルベールは枯れてしまいました

Algún día seré tu príncipe／１ ページ19

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「 英智さん、さようなら 」
「 送っていくよ？ 」
「 いえ、大丈夫です！ 」



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喉が焼けるように苦しくなった、然し体調が悪い訳ではなく、彼女のことを思っての痛みだったのだ。


好き、が通じ合って、互いに隙を見せられるようになって。そんな関係になってから、もう半年は経つ。寒気がするくらい必死で想いを伝えた頃。彼女が顔を赤く染めて頷いてくれた頃から、もう半年。まだ、とは思えず、もう である。お互い忙しくて顔を合わせない日すらあり、逆に周りに怒られてしまった程。


「 ドラマみたいな、映画みたいな恋がしてみたいんです 」



貴方は私の王子様ですから。



純愛とか、ロマンチックなストーリーはまだ映像が白と黒だった時代から多くの人に愛されてきた。日本の古典だって例外ではない。この世界が始まった頃からも、そんな愛は求められてきたのだと思う。彼女も同様に、憧れ、そしてそんな物語に恋い焦がれてきたのだ。“ 王子様 ”が迎えに来てくれるようなストーリーに。



病弱な王子様、なんてかっこつかないよね。



そう笑えば彼女は驚いた表情で告げる。世界で一番です、なんて。嬉しくて、それでも心の隙間を埋められない自分に苛立って、喉が焼けるように痛くなる。熱く、熱く、焦がされるように。


最近あまり体調が優れない。迎えの車の中には冷たい空気が充満していて、空白を埋めるように窓に凭れかかった。息を吐くと窓が曇って彼女の後ろ姿が霞んだ。どうしてか、少しだけ戦慄する。何かが心の中で鬩ぎ合っていて、慌てて心臓を押さえた。かちかちと時間を刻むようにゆっくり脈打っているそれが、気をつけろ と警告した気がしたのだ。





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