水は雷に弱い ページ4
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リクオはその禍々しい屋敷妖怪を見上げた。
「首無…これぁ…」
「結界…でしょうね」
屋敷は禍々しいだけでなく、周りにはバチバチッと雷の網が張り巡らされており、それは空まで覆っていた。
「…でも、これで…
Aがここにいることは確定しました。
あとは、中に入るだけです」
「だが、どうやって入る?」
今まで黙っていた毛倡妓は思いついたように"みだれ髪"を放った。
毛倡妓の髪は畏れを纏わせると雷さえ通さなくなるからだ。
しかし…バチッと毛倡妓の髪は弾かれた。
「「「「っ!?」」」」
もう一度試したが、結果は同じだった。
毛倡妓の技は、毛倡妓の髪を見て畏れてこそだ。
目という目を有していない屋敷妖怪、実際に見ていないAを拐った男には有益ではなかった。
悔しそうな毛倡妓は、ふと何かを思いついたように河童の方を見て言った。
「河童、あんた通り抜けの技使えるじゃない…!」
すると、河童は少しだけ俯き、軽く首を横に振った。
「ダメだよ。
"通り抜け忍び池"は使えない」
「なぜだ?」
首無が問いただす。
「オイラ、水妖怪だもの。
水は雷に弱い」
「「「っ!」」」
「だから…
きっと、Aも…」
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年8月13日 13時