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重なる意識 ページ12
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「…っ！？」
そのとき、彼女の分身のような小さな水龍が自身の背中を這っていることに気付いた。
男はそれには気づいていないようだった。
A…何をするつもりだ…？
そして、その水龍が自分の身体に染み渡っていくような感覚に陥った。
その、瞬間。
彼女と意識が重なった。
首無は驚いて、Aの方を見た。
電撃にやられ、項垂れていた彼女が少しだけ顔を上げたとき、首無と彼女の目がバチッと合った。
彼女の考えが首無に共有される。
妖力抑制作用を有する鎖のこと。
そうやって、抑えられているなかでも出来る技があることに気づいたこと。
それを男に気付かれずに実行することで、一瞬の隙が生まれること。
その瞬間、男に畳み掛け、その間にこの鎖を破壊してほしいということ。
全てを把握した首無は、彼女と目を合わせたまま小さく頷いた。
首無は顔は彼女と男の方を向けたまま、男には聞こえない程度の小声で彼女の考えを三人に伝えた。
「おい！何をごちゃごちゃ話している！」
先程まで敬語で話していた男の口調はすっかり荒くなっている。
それほどまでに余裕がないのだ。
直後、首無から出た彼女の分身は勢い良く、男の前に現れ、そのまま顔にバシャッとぶつかった。
それが合図だった。
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作者名：怜。 | 作成日時：2020年8月13日 13時
