第178話『今はまだ』 ページ29
引き続き骸side
心配しかないからこそ僕の手元に置いておきたいのにこの娘ははするりと風のようにすり抜けていく。
だが………そのAがだ。
僕が笑ったらホッと安心したように彼女も笑う。顔を真っ赤にしてこっちを見るなと顔を逸らす。笑ったり照れたり忙しい彼女は僕を意識しているのだ。
それがどうしても嬉しくて、僕を見ている彼女の瞳が愛おしくてキスをする。
調子に乗って舌を入れてみたが艶っぽい声を出しながらも弱い抵抗をするA。
可愛くて仕方がない。
しかし突如チラついた白いのを思い出しAを問い詰めればまたいじけた。
言っときますけど僕だって怒るの我慢してるんですからね…?(怒)
六「_______…気に入らない」
「…?」
六「全くもって気に入らない」
「な、何が?」
六「いいですか?A。そうなりたくなければ僕のそばにいることです。距離を置くなんて言語道断」
手放したくなくて彼女を縛り付ける言葉を言うがこのバカはそんな僕の下心になんて気づく様子もなく聞き返してくる。
「………骸のそばにいたらそうならないわけ?」
いい加減、僕以外には警戒心というものを持って欲しいがこの状況的にはありがたい。コクリと頷けばわかった、と素直に返事が返ってくる。
不貞腐れたような顔をするAが可愛くてもう今日は絶対帰してやらない、と決心した僕は悪くないと言えるだろう。
最初は暴れていたものの黙って僕に抱きしめられるAを見るとどうにも気分が良くて仕方がない。
________全部、"今更"なんですよ。
Aには悪いと思う。
だがしかし、
今更離してくれって言ったって、
今更逃げようとしたって、
もうお前を手放してやることはできませんから。
六「………お前も可哀想ですね」
こんな僕に好かれて。
「……ん?なんか言った?」
六「クフフ……なんでもありませんよ」
「そう?てかまじでお腹すいたんだけど」
六「……今日は寒いしお鍋にでもしますか」
「しょうがないからリクエスト聞いたげる」
そう言ってニコッと笑うA。
この笑顔を独り占めできる日は一体いつになることやら。
僕の腕を抜けて部屋を出ようとするAを掴まえ、そっと額にキスをした。
「……っ!な、にしてんの!!?」
六「気分です」
「腹が立つぅぅぅ……!!!」
今はまだ、
今はまだこのくらいで勘弁しておいてあげますよ。
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください! (11月11日 10時) (レス) @page47 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - はじめまして!今日1から読み始め、XANXUSが大好きな私とても楽しく読ませて頂きました!これからも応援してます!! (2020年3月13日 3時) (レス) id: 7abe842fbe (このIDを非表示/違反報告)
くうはく(プロフ) - さのさん» うそおおお(;;)嬉しすぎます…!最高なんてもったいなきお言葉…!亀更新ですが頑張りますので見捨てないでくださいね(殴) (2020年1月24日 16時) (レス) id: ed0491e176 (このIDを非表示/違反報告)
さの - あまりにも最高すぎて毎日ずっと読み返してます!!!こんな素敵すぎる作品をありがとうございます(´ ゚ω゚`)!!!ほんとに大好きですありがとうございますめちゃめちゃ面白いしきゅんきゅんもするしとにかく最高です! (2020年1月22日 2時) (レス) id: 550c2ffe1e (このIDを非表示/違反報告)
くうはく(プロフ) - zzzさん» そのように言っていただけて本当に嬉しいです(;;)初代さん…!!zzzさんのためにどうにか絡ましてみたいと思います!!(*´-`*) (2020年1月18日 13時) (レス) id: 698353e71b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くうはく | 作成日時:2019年12月25日 12時