234話 ページ40
見習い「審神者殿、全刀剣男士の手入れ感謝致します。」
見習い、そう名乗った大和守と同じ羽織の男がこちらに向き直り、深々と頭を下げた
結われた艶のある黒髪がぱさりと音を立てて畳の上に落ちると
突如訪れた静寂に、小狐丸の背後からひょっこり顔を覗かせた主がその様子を見て慌てたように姿勢を正した
『いや、あの頭上げてください！できる範囲のことしただけやし、何もしてないですよ！』
見習い「貴方には何でもないことだったとしても、俺にはできない事です。本当に、ありがとうございます。…俺には力及ばずで、中傷の彼等をなんとか手入れできる程度です。重症の彼等にはどうやっても完全に手入れすることは出来なかった…。」
『…多分、これから本丸で過ごしていけば私みたいに霊力が増えたりしますよ。これからです！これから』
見習い「…ありがとうございます。改めまして、この本丸に見習いとして置いていただいています。名を、佐々木愛次郎と申します。」
主が息を止めた
すぐに横を向けば大きく見開いた目にあっという間に涙を溜めて口元にゆっくりと手を伸ばして
『新撰組、やっぱり新撰組の隊士の方ですよね！？私、私あの、っ、』
正座の姿勢から辛抱たまらないといったふうに膝立ちになって一二歩進んだ主は畳にポロポロと涙を落としながら興奮したように話す
涙声が詰まってしまえば、次は佐々木と名乗った男が主と同じように膝立ちになりあわあわと手を動かす
主の膝元で畳に染みた涙が薄緑色に光って消えた
佐々木「やはりご存知ですか！仰る通り、俺は一番組に属していた新撰組隊士です。」
『一番組といえば沖田組長ですよね！』
佐々木「！！はい！その通りです！ああ、嬉しいなぁ」
『学生の時からずっと好きで結構詳しいんですよ！私！佐々木さんを含めた美男五人衆とか貴方の恋仲のあぐりさんとか！』
空気が少し揺れる
ぺたんと座ってしまった佐々木が少し顔を歪めたのが見える
佐々木「…はは、恥ずかしいな。美男五人衆なんて呼ばれてたんですね俺達…。…それにあぐりのことも知ってるなんて」
佐々木が俯いた
その表情は完全に見えなくなり、少し震える肩が何故か痛々しくも見える
警戒して刀に手を伸ばすと横で小狐丸が片足を立てた
佐々木「あの、あぐりの事は、…あの子の最期は」
『え、』
「「言っちゃダメだ！！！！」」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 749人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - わたしは更新、いつでも待ってます! (2021年5月16日 10時) (
レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 名無しさんさん» はい、これからも楽しんで読ませていただきます!!名無しさんは社会人と聞きました。どうか自分のお体をご尊重してください (2021年5月16日 10時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» コメントありがとうございます。嬉しい内容にやると決意できて良かった、また書きたいと思って良かったと思います。私の作品を読んでくれてありがとうございます！これからも楽しんでいただけたらなぁと思います！ (2021年5月15日 20時) (レス) id: abe0f1ab0e (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - こんばんわ。この作品が続いてくれると知って、とても嬉しいです!!どうか名無しさんのペースで更新してもらえれば。また続きが読める事に感謝します。ありがとうございます!! (2021年5月14日 21時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます！好きと言ってもらえるのはとても嬉しいです！絡み前向きに検討させていただきますね！ (2021年5月6日 13時) (レス) id: abe0f1ab0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無しさん | 作成日時：2020年1月9日 1時
