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「あのね、落ち着いて聞いて、」
話し始めた私の横に、1人の女子学生がやって来た。
あ、この人って...
ミスキャンパスで、ローカル番組とかにも出ちゃうくらい有名人の如月さんだ。
生で見るの初めてだけど、やっぱり美人だわ。
「ねぇ、松村ってどっち？」
「へ...あ、私、ですけど。あの...」
「ふーん、アンタがね...いい度胸じゃない。」
「あの...どちら様、」
「は？！どちらさま！だって？！ふざけんじゃないわよ！！！」
「うわ！！！」
突然椅子から引きずり落とされるA。
「...何するんですか！？」
「それはこっちのセリフだわこの泥棒ネコが！！！」
如月さんはテーブルにあったお冷をAにぶっかけた。
「A大丈夫？！ちょっと止めて下さい！！」
「うるさい部外者は入ってくるな！！」
さらに掴みかかろうとする如月さんを止めようと間に入るも、押し飛ばされる私。
こんなに華奢な美少女なのに...なんという怪力。
「だいたいこういう一見素朴なピュア感出してるパッとしない女ほど中身はヤバいのよ！人のオトコでも平気で色目使って、ほら、こんな弁当なんか作って家庭的な女アピールしやがって！！」
「いやこれは違、いった！！」
今度はAの、北斗さんお手製の弁当を容器ごとAに投げつける。
床に散らばる中身を、必死に拾い集めるA。
「...なんでいきなりこんな、」
「酷いことしたのはアンタの方じゃないのよ！！人の彼氏を横取りしたじゃない！！」
「彼氏？」
いつもは騒がしい学食が、今は静まり返っている。
辺りを見回せば、みんなが見ている。
動画を撮っているヤツもいる。
...そういうことか。
Aの上に立ちはだかる如月さんを前に、全てがクリアになった。
瑞稀さんと橋本さんが革ジャン野郎と話していた、アレ。
自分に気があるAを誘惑し、ゆっくりと束縛していく。
仲間たちが離れて、Aが独りぼっちになったところで...
今、Aはあの如月さんから彼氏を略奪したとんでもない女。
またたく間にその情報は学内に広まるだろう。
これからの、Aの生活は明らかに一変する。
「...でも本当に私何も、」
「はあ？この期に及んでまだそんな...ふざけんな！！」
「あ！それだけはやめてあげて！！」
如月さんがドレッシングを振りかざした。
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
