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「アレですね、いい感じに仕上がってきてますよ。」
「そうか、順調か。」
「はい、それは瑞稀がぬかりなく。」
瑞稀さん？
橋本さんと2人、この胡散臭いおっさん(かなり失礼)と何かやってんの？
「それにしてもマスター、ずいぶん根に持ってますね...一体何年前の話ですか？」
「うるさいぞ涼！ワンマンなくなってもいいのか？」
「いや！それは困ります！！」
「すみません！大丈夫です！A、いや妹は全く気づいてません！俺の言いなりですから！！」
A？妹？Aは、北斗さんの妹だけど？それが何？
言いなり？どういうこと？
「あの、」
「待って。」
思わず立ち上がろうとした私を、龍斗くんが止める。
「そうか...それで松村の妹はこれからどうなるんだ？」
「はい...今、昔からの友人とも縁を切らせてます。俺だけが頼りになってしまうまでもっともっと追い込んでいきます。」
「...で、最後に、」
「今までの生活が出来なくなれば、と。」
「そりゃいい(笑)。松村のおかげで俺の妹も人生狂わされてんだ、ホントに可愛い妹だったのに...松村も1番大事にしている妹がそんな目に遭えば俺の苦しみがわかるだろうよ。」
...それはナイ。
北斗さんがどんなことしたのかは知らないけど、仕返しするなら本人にしなさいよ。
何も知るはずがない、脳天気でトンチキでちょっとだけおバカで...いやかなり頭おかしいヤツだけど、誰にでも優しくて明るくて、みんなを笑顔にしてくれる、私の、大好きな、親友のAに何してくれてんのよ！！！
てか誰だよこの臭そうな革ジャン着てるおっさん！！全然似合ってねーんだよ！！革パンの上に肉乗ってんだよ！！
「おいコラ、」
我慢しきれず声を上げた私を、龍斗くんはまた止める。
「なんでよ！！」
「...ダメ。」
龍斗くんは一瞬厳しい目をしたけど、すぐにもとに戻り箸を動かしている。
抑えられた私は、じっと下を向く。
「でも瑞稀、可愛らしい子だから情が移ってんじゃない？あ、もともとタイプだったとか？」
「やめてよはしもっちゃん！！全てマスターとマスターの妹さんのため！一切気持ちなんてないから(笑)。」
「お前ら、酷すぎるぞ(笑)。」
3人はまた笑いだした。
...あーもう無理！！
「...うぉい！！！あんたら、」
パキン！
...パキン？
私が顔を上げると同時に、変な音が近くで鳴った。
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
