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「ほら、まだ残ってる。」
「これは...典子からだ。何かな？」
包装紙を開けるA。
「何これ..."どん底ですが何か？"ってアイツふざけてない？だいたい私、自己啓発本って大嫌いなんですけど！！」
「まぁまぁ森口さんのブラックジョークってことで...おいおい、破った包装紙に何かくっついてるけど？」
「え、なに...あ、ポイントカードだ。」
Aの手には、森口さんの実家、"中華料理孫悟空"のポイントカードが。
「...しかもさ、スタンプあと2つで餃子ひと皿無料だよ？これは食べに来いってこと？」
「そうみたいだね...よかったら今度連れていくよ、あ、今度はちゃんと運転するから。」
「そういえば運転上手になったね...じゃあ、また連れて行って。」
「了解です...あ、それからLINE見た？森口さんからの。」
「え、見てないけど、」
言いながらスマホを開くAの動きが止まった。
「...毎回授業ノート送ってくれてたんだよ。」
「...全然スマホ触ってなかったから。」
「森口さん、あー見えて1番心配してたんだから。今回のことだって森口さんが最初に言い出して、みんなに頭下げて話まとめて必死だったんだよ？まぁ同性だし、なぜか修羅場も一緒に経験しちゃったから他人事には思えなかったんだろうけど。」
「...うん、トンチキだけどいいヤツだよ、典子は。」
「あれ、アナタが言っちゃうんですか？」
「あら、私が言ったら変ですか？...それよりさ、」
「ん？」
「龍斗くん...キミのが、見当たらないんですけど？」
「え、あ、ごめん！俺、何も準備してない！」
焦る俺を見つめるAは、ぷッと吹き出す。
「ウソ(笑)。そんなに焦らないで...」
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
