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鈴のような愛らしい声でおしぼりを持ってきたのは、でぃすてにぃの看板娘、リホちゃん。
「大変申し訳ありません...って、もしかして？」
あざとく首を傾げ、瑞稀さんを見つめる金髪リホちゃん。
「あの、井上さん、ですかぁ？」
「あ、うん、そうだけど、」
「うわぁヤバい！私、井上さんのこと大好きなんですぅ！！マジ？こんな場末の居酒屋で会えちゃうなんてエモすぎるって！！」
飛び跳ねて喜ぶリホちゃんに、瑞稀さんの顔が緩む。
おい、井上。目付き変わってるじゃんか！！
確かにリホちゃん美人だけど！！
あんた、1度でも私の事をそんな目で見たことがあるか？
「そう...俺のファンなんだ...じゃあ、俺のお願い、聞いてもらえる？」
「え？あ、はい！もちろん！！」
「見てよこれ...ハイボールで濡れちゃった...君が、拭いてくれると、嬉しいな。」
「え...それは...」
明らかにリホちゃんが着ているTシャツの裾から伸びる白い腕が鳥肌になっている。
おいふざけんなよ井上！
リホちゃん、そこまでしなくていいから！！
「ダメなの？さみしいなぁ。」
潤んだ目で、リホちゃんを見つめる瑞稀さん。
「いえ、はい！拭かせて頂きます！」
リホちゃんは持っていたおしぼりで、瑞稀さんの胸を拭き始めた。
「君の名は？」
「え、あ、リ、リホです。」
「リホちゃんか...可愛いね。」
「え、ありがとうございます...じゃ、こんな感じでいいですか、うわっ！！」
離れようとしたリホちゃんを、瑞稀さんはぐっと引き寄せた。
「...好きになっても、いいかな？」
アカーン！！！
...ホント井上最悪！！！
ごめんなさいリホちゃんこんな役目を押し付けて！！！
とりあえず助けに行かなきゃ！！
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
