67 ページ19
数日後。
私は龍斗くんと2人、岩本家の座敷に座っている。
「...何、2人とも緊張してる？」
「へ、」
「あ、すみません！ありがとうございます。」
お茶と栗ようかんを置いてくれながら、まきさんが不思議そうに言う。
「そんな深刻な顔して、一体何が...え、もしかして龍斗、典子ちゃんによからぬ事を、」
「え、違う、」
「何？！龍斗あれだけ言っただろうが！学生らしく節度を持った行動しろって！！」
照さんが部屋に飛び込んできた。
「だから違う！そんなことしてない！俺は常に品行方正だ！」
「誤解です！そんなこと起こるはずないじゃないですか！！今日は照さんにお願いとご相談があって来ました！」
「えーそうなんだぁ...ちょっとつまんない。」
「つまんないならねーちゃん出てけよ。兄ちゃんに話があるんだよ。」
ぶつくさ言いながらも、まきさんは照さんの隣にしっかりと座った。
...
「はぁ？！なんなのその話！！Aちゃんひとつも悪くないじゃん！！男たちがよってたかって卑怯なことしやがって！！よし、私が今からそのライブハウスとやらに火付けたるわ、」
「まき、落ち着け！血圧上がるぞ！」
「んなもんとっくに上がっとるわ！！兄ちゃんも悔しくないの？Aちゃんなんて妹みたいなもんじゃない！」
「そうだな...他人の俺ですらこんなに怒りがこみ上げてんだ、実のお兄さんの知ることになったらどんなにか、」
「はい、だから北斗さんのことはAには伏せてます。」
「ほくと...もしかして、Aちゃんのお兄さんて、松村北斗くん？」
「え、ねーちゃん知ってるの？」
「知ってる知ってる！有名よあの人。超進学校のイケメンで、"バス停の貴公子"って私の学校でもファンクラブあったもん。」
「まきさんもファンだったんですか？」
「いや、私は年下興味なかったから。そもそも部活で色恋とか楽しむヒマなかったし。」
「でも一緒のバスだったんだろ？絶対北斗さん恐がってたはずだよ。高校のときのねーちゃん、めちゃめちゃ気合い入ってたからな。」
「龍斗何言ってんの？ライブハウスのオヤジの代わりにボコボコにするぞ？」
「おい2人ともやめろよ！森口さんに恥ずかしいじゃないか...で、俺は何をすればいい？」
あ、と私はカバンから1冊のノートを取り出す。
「まずは...これを読んでみて下さい。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
