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思わず目を閉じてしまった私。
「...何よアンタ。」
如月さんの声で目を開けると、龍斗くんがドレッシングを持つ手を掴んでいた。
「如月さん...みんなが、見てます。」
龍斗くんの声に、ハッとして周りを見廻す如月さん。
「...放してよ、痛い。」
「あ、すみません。」
龍斗くんが手を放すと如月さんはドレッシングをテーブルに置いた。
そして我に返ったらしく、ボロボロになって座り込むAを見て何か言おうと駆け寄ろうとする。
「如月さん、大丈夫ですよ...ここは僕たちで何とかします。」
龍我くんが優しくそれを制した。
「おい、お前も大変だったな...大丈夫、立てるか？」
如月さんが去ったあと、猪狩が私が起き上がるのを手伝ってくれた。
「ありがと...いやさすがにちょっと腰抜けちゃったよ。」
「だろうな、すごい状況だったぞ。」
「Aは？」
「あ、龍我が介抱してる。」
椅子に座らせてもらったらしいAは、龍我くんに頭や衣服を拭いてもらっている。
そして、龍斗くんが床の残骸を片付けていた。
だんだんと野次馬も去っていく。
「あ...」
ぼんやりしていたAが見た先には、瑞稀さんが立っていた。
「瑞稀さん、」
瑞稀さんはチラッとAを見ると、友人たちと談笑しながら去って行った。
残されたAは、真っ白な顔で呆然としている。
私は頭の中が真っ白になった。
「...ざけんなこのクズ野郎がぁ！！！」
「おい！ちょっと待て！！」
瑞稀さんに向かって駆け出そうとした私は、猪狩に全力で止められる。
「なんでよ行かせてよ猪狩！！」
「ダメだ！せっかく収束しそうなのにまた騒ぎ起こすのかよ！！」
「だってあまりにも酷い！！Aが可哀想すぎる！！」
ボロボロと泣きながら、腕を掴む私を猪狩は必死に抱える。
「だからこれ以上ことを荒立てんな！！悔しいのは俺たちだって...でもなモリコ、今は松村のために頑張って落ち着け、友達なんだろ？」
抱き抱えたまま、まるで父親か兄かのように私を諭す猪狩。
「うわぁー、悔しいー！！！」
「わかった！お前のやるせない気持ちは俺が受け止めてやる！！さあ泣け！！」
猪狩は、自分のパーカーの袖がびしょびしょになるまで私に腕を貸してくれていた。
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
