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(ASide)

...花火大会かぁ。

学生のとき、友達と行った以来。

ふと、思い出す。


クローゼットを開けて、奥をガサガサ探す。

「ありました...」


昨年、"もしかしたら"と淡い期待を抱いて買った浴衣。

結局、1度も袖を通していない。

服の上から羽織り、鏡の前に立ってみる。


...着ていっても、いいかな?

岸くん、びっくりしないかな?

どんな顔、するんだろう。

"似合ってます"って、言ってくれるかな?

可愛いって思ってくれると、いいんだけど。


あれ?

何でこんなに岸くんの反応を気にしちゃってるんだろう?

...実は、公園で見つめ合ってしまったときから、時折岸くんのことを意識してしまっている。


例えばエレベーターで、
何気に自分が壁になってくれてるときとか、

壁になってくれてる腕から見える血管とか、

ふとしたときに見せる大人っぽい表情とか。

あどけない、爽やかな好青年が、男の人に見えてしまうときがある。


...ダメダメ。

これ以上、余計なこと考えないようにしなきゃ。

岸くんは、若くて、優秀な、未来ある学生さん。

キラキラしてて、私とは住む世界の違う人。

私は、時々キラキラを分けてもらってるだけ。

深入り、できない。

「...でも、楽しみだな。」

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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時

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