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(ASide)

夢の中、誰かがずっと、頭を撫でてくれていた。

優しく、ゆっくりと。

とても心地良い。

久しぶりに、安心して眠る。



...ん?

目が覚める。


ベッドじゃない。

公園の、芝生の上だ。

初めて、屋外で眠ってしまった。


まだ、頭に優しい手の感触。



夢じゃない。

誰かが、頭を撫でてくれている。


顔を上げる。

目の前には、優しく私を見つめる岸くん。

「あ...」


さりげなく、私の頭から離れる手。

ずっと、そばにいてくれたのは岸くんだったんだ。


「あ...おはよう。」

「うん...おはよう。」

何となく、気まずい。

そりゃそうだよね。

男女がこんな至近距離で見つめ合っちゃってるもん。

「ごめん、寝てしまってた。」

「いや、俺の方が先に寝てしまったから...」

お互い、無言で起き上がる。


それから、"じゃ、解散で"と、帰り支度を始めた。

まだ少し、気恥しい。

岸くんも照れくさいのか、あまり話そうとしない。


駐輪場の前、

「学生さんは、そろそろ夏休みだね。」

「あ、そうです。試験終わったら、休みです。」

「そっかー。じゃあ、勉強しなきゃね。頑張って。」

「はい...あの、」

岸くんが立ち止まる。

「試験終わって、夏休みになったら、俺、もっと自由な時間増えるんで、また、フリスビーでも、キャッチボールでも、テニスでも...うーん、とにかく何でも付き合うんで、いつでも連絡して下さい。」

私の心の中を読んだのか、その場を和ませてくれる。

「うん。ありがと(笑)。じゃ、また私、お弁当作るね。」

「ホント?!今日の唐揚げ、めちゃめちゃ美味しかったです!」

「そう?よかった(笑)。私の夕ご飯にならないで。」

自転車にまたがる岸くんと別れる。

「じゃ、また。」

「うん、気を付けてね。」

ぺこりと私に頭を下げて、立ちこぎで帰っていく岸くんを見送った。

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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時

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