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(優太Side)
...目覚める。
しまった。
眠ってしまった。
自分に負けてしまった。
Aさん、どうしてるかな?
とりあえず起きなきゃと、横を見る。
うわ!!!
衝撃です。
俺のすぐ隣で、Aさんが眠っている。
...無防備すぎでしょ。
この人、俺のこと、何だと思ってるんだ。
こっちは...結構...かなり...いや、ものすごく気になってるのに。
よく眠っちゃってるね。
初めて見る、Aさんの寝顔。
...可愛い。可愛すぎる。
もうこのまま、キスのひとつでもしてやろうか...
ゆっくり、Aさんの顔に自分の顔を近づける。
唇が重なるまで、あと少し。
...ん?
突然、寝顔が歪む。
涙が、流れている。
泣いてる...?
鈍い俺は、やっと気がつく。
髪を切ったこと。
元気すぎるくらいにはしゃいでいたこと。
そして、涙の寝顔。
ちゃんと、終わりにしたんだね。
1人で、頑張ったんだ。
...Aさん、偉かったね。
俺は近づけていた顔を離し、代わりにAさんの髪に触れる。
ゆっくりと、そっと、赤ちゃんをあやす様に、頭を撫でる。
何度も、何度も。
そのうち、泣き顔のAさんは穏やかな顔になり、寝息を立てる。
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時