一月で惚れさせてください【鬼滅の刃】

第仇日目 夕方 【我妻善逸】＊ ページ36

｢れんちゃんりくえすとありがとう！はぁーー今から緊張してきたァァ！｣
＿＿＿＿＿＿＿


我妻善逸




｢ごめんくださーーい｣



どこか緊張した声が聞こえた



『へーい』



何となく高鳴る鼓動を抑えながら迎える



『…上がってく？』



こんな緊張する！？相手善逸だぞ！？(だから失礼)



｢あ、いや、ここでいい。｣



『おぉ、そっか』



玄関に座り込んだ善逸は黙りこくってしまった



夕方だから少し涼しく、空は淡く朱と金に染まっている



今日は空が綺麗だなんて気持ちを誤魔化す



『…あーえっと、お茶持ってくる！』



この沈黙に耐えきれずその場を立とうとすると



｢まっ、て｣



ｷｭｯと袖を掴まれる



『善逸…？』



ｷﾞｭｯ



さっきから五月蝿いこれは私の心音なのだろうか



小さい声で言う



｢あの、さ｣



『うん』



｢…俺、こんなにも人のこと好きになったことなくて。｣



｢だから、つまり、｣



｢…んんんんもー！！！｣



なにか吹っ切れたのか私の肩をｶﾞｼｯと掴み目を合わせる



｢Aちゃんが、すっごい好きなの！｣



『…お！？』



｢俺、耳いいから、君のこと考えるだけで自分の心臓が煩くて、｣



でもそれが心地よくて。



｢君と恋仲になりたいと思って、それで、｣



もっと触れてみたいって



｢…思って｣



『うん。』



｢…好きです、大好き。｣



｢えと、これを伝えたかっただけだから。一月のあの日に答え、聞かせて？｣



え、このまま行かせたらその日まで、もしかしたら善逸来ない？



えーそれは寂しいわ普通に



『わ、かった』



｢…じゃあこれで｣



『ねぇ、善逸』



『もう、来てくれないの？』



｢…っもう、なんでそんな可愛いことするかなぁ｣ﾎﾞｿｯ



『お？』



ｷﾞｭｯ



｢離れたくなくなるじゃん…Aちゃんも耳、いいよね？｣



『ひぇ、』



耳元で囁かれる



ﾋﾟﾁｬ…ｸﾁｭ…と音が響く



『あ、まっ、て』



力が抜ける



｢可愛い。感度いいんだね｣



こいつ、本当に善逸か！？



｢この"音"って俺だけの音じゃないよね？｣



案の定私の心臓の音はバレたようで



顔が熱くなる



玄関の戸から差し込む光が善逸の髪の毛を綺麗に光らせる



｢また、来るから。｣ﾆｺｯ



『は、はい』




＿＿＿＿＿＿


｢いんじゃない！？いいんじゃない！？俺！？あぁぁぁ可愛かったァァァァァ！！！あんな可愛いこと言われたら困るよ！！？｣

第仇日目 夜 【煉獄杏寿郎】→←第仇日目 昼 【甘露寺蜜璃】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す