TYside ページ36
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ある日のレッスン中、扉が大きな音でノックされた。
扉をノックするのはお客さんしかいない。
メンバーもそれを思っていたらしく全員の視線が扉に集中した。
マークが扉を開け廊下に出ると、何やら知り合いのような会話が広がっていた。
廊下が気になったヘチャン、ユタ、ジョンウが扉から顔を出して様子を見ている背中を、僕とテイリヒョン、ジャニとドヨンで見つめていた。
｢誰が来たんですかね？｣
｢さぁ？マークがあんなに喜ぶ知り合いって誰だろう？｣
顎に手を置いて首を傾げるドヨンとジャニ。
｢でもあの声、聞いたことない？｣
1人静かに全体の様子を見ていたテイリヒョンが言った。
確かに何故か懐かしい声に感じた。
｢最近聞いたような…｣
ドヨンは最近聞いた声らしい。
ドヨンとも繋がりのある知り合いっていたかな？
事務所の関係者意外あまりいないが、自分も聞いたことある声に記憶を遡らせる。
｢ユタヒョン、テヨンイヒョン！Aが来てくれましたよ！｣
マークに手を引かれ入ってきたのは、ずっと会いたかった彼女だった。
｢お久しぶりです。｣
恥ずかしそうに挨拶する彼女を見て胸が苦しくなる。
再会したかった彼女が今目の前にいる。
ずっと夢にまで見た存在が目の前に。
嬉しさと懐かしさに自分の人見知りがぶり返す。
近づきたいし話したい、けど…。
彼女を囲んで楽しそうに話すメンバー達を、輪の外から様子を見ていた。
ヘチャンやユタみたいに、自分にもコミュ力があればいいにと思ってしまう。
輪から静かに出てきたユタが話しかけてきた。
｢話しかけんくてえぇの？｣
俺の長年の片思いを知ってるユタがそう声をかけてきた。
｢何を話したら良いのか分からないや。｣
｢久しぶりやねんから、話したいこといっぱいあるんちゃうん？｣
｢あったけど…、いざ目の前にしたら全部消えちゃった。｣
自分の情けなさに悲しくなる。
いつか会った時を想像して貯めていた脳内のメモも、今じゃ役にたたない。
｢お久しぶりです。テヨンさん。｣
数分前にそう声をかけてくれた彼女は、昔と変わらず柔らかくて優しい雰囲気を纏っていた。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
