【NCT】Flower【TY】 (ページ25)

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《空港では厳しいことを言ってしまってすまなかった。》

父の目から涙が零れた。

初めて泣いてる姿を見た気がした。

中学の卒業式の日、式が終わった脚で空港へ向かった。

父は韓国へ行くことを認めてくれたけど、まだ納得していない部分もあったらしい。

空港で飛行機に乗る直前に、父は私に言った。

｢成功するまで帰ってくるな。｣

私を期待しているからこその厳しい言葉だった。

だけど私はその言葉のおかげで挫けそうになっても頑張れる。

映像では厳しく言ったことを後悔していると言っていた。

もっと優しい言葉で送り出せば良かったと。

優しい父の言葉に耐えていた涙が溢れ出した。

《身体を壊さず、元気に過ごしていてください。
これからも、父さんと母さんはAの親でありファンだからな。》

近くて遠い国で私を応援してくれてる人がいることを再度実感した。

この二人が私の両親で良かったと、この二人の娘として生まれたことを、心から嬉しくなった。

｢ありがとう…。｣

育ててくれた両親に、

隣にいる兄さん達に、

そして私を見つけてくれた事務所に、

涙を流しながら感謝を口にした。

モニターが切れると、部屋の明かりが灯される。

明るくなった部屋で露になる私の顔をみてディノが大爆笑しだした。

｢A…、目が無くなってる。｣

泣きすぎて目が晴れてしまった私の顔が面白いらしい。

｢ディノに言った感謝の言葉を取り消します。｣

｢ごめん！｣

デビューしてからも、ディノは何も変わらなかった。

憎たらしくて腹立たしい双子の兄。

私はそうディノのことを思っている。

卒業祝いの会が終わると私は真っ直ぐ家に帰った。

沢山のプレゼントを前に今日を振り返る。

｢そう言えば…！｣

朝テレビでやっていたCMを思い出し、電源を付けた。

丁度テヨンさんの自己紹介が始まった。

テレビに映る彼は、惚れ惚れするほど美しいままだ。

｢まるで薔薇みたい。｣

美しく咲いて上品に魅了する。

そんな薔薇みたいな彼を私はただ画面越しで見ることしか出来ない。

｢薔薇の隣に私みたいな野花は立てないな。｣

野花と言うのもおこがましいかな。

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