TYside ページ18
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彼女と出会った次の日。
｢あの！｣
いつもの部屋のいつもの場所で支度をしていると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、昨日僕を見つめていた彼女がいた。
｢…は、はい。｣
イヤホンを付けようとした手を止める。
すると彼女が近づいてきた。
｢あの、近くで練習しても良いですか？｣
少し震えた瞳で真っ直ぐと見つめてくる。
よく見ると、胸の前で握った手も震えていた。
何も言わずに黙っていると、彼女が小さくなった声で話し出した。
｢急に声をかけて迷惑でしたよね。
実は私、貴方のダンスに一目惚れしました！
それで…その、近くでダンスを学ばせて貰いたいんです。｣
初めて"ダンスに惚れた"と言われた。
苦手だったダンスを褒められて凄く嬉しくて胸に重く響いた。
｢いいですよ。｣
そう言うと、彼女は輝いた目でまた僕を見つめた。
｢ありがとうございます！
私は昨日から練習生になったA Aです。
よろしくお願いします。｣
｢イ･テヨンです。よろしくお願いします。｣
その日から毎日通常レッスンの後は二人で練習をした。
彼女と出会ってから挫けそうだった思いが消えていった。
多分、彼女の面倒を見ることが気を紛らわしたんだろう。
いつも真剣に頑張る彼女にもっと頼って欲しいと感じていた。
そんな日が続いたある日。
寮で同室のユタが僕の顔を見るなり聞いてきた。
｢最近楽しそうだね。｣
目を細くして笑うユタ。
｢そうかな…？｣
｢うん。何か変わったことがあったの？｣
僕の初めての日本人の友達。
ユタも優しくて暖かい人。
僕はユタを信頼していた。
だから、ユタには全部話した。
｢へぇ〜！日本人の女の子ね。初めて知ったわ。｣
｢知らなかったの？｣
｢うん。最近入ったってことは、絶対ルーキーじゃないんやろ？｣
｢そうだね。レッスンで見たことない。
…でも、最近入ったにしてはダンスが上手だよ。｣
｢マジで？めっちゃ気になるわー。｣
濡れた髪をタオルで荒く拭くユタを横目に、胸の奥がモヤッとした。
この感覚が何だか分からなくて気持ち悪かった。
でも僕は気にしないようにした。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
