6月のマーチ【エイジ】2

57 エイジside ページ7

「えいちゃん！！これ！！」


バン！！！！！！！

リビングの扉が勢いよく開いて、そらがケータイを持って凄い形相でこちらに近づいてくる。
またしょーもないことを思い付いたんだろう。
そらから編集しているパソコンの画面に視線を戻し、作業を続けた。


「なに？」

「これ見て、さすがにやばいかも…」

「は？」


そらからケータイを受けるとると、Aのインスタの画面。
最後に更新されたのは、俺らも参加したユーフェスの日だった。
前も見たことがある、ぁぃちゃんとツーショットの写真。


「…これが？」

「コメント欄！見て！」


そらに言われるがまま、そのままコメント欄までスワイプする。



……


途中で指が止まるほど、Aに対する誹謗中傷の言葉が続いていた。



嘘だろ…



あまりにも酷い言葉が並べられていて、言葉も出ない。



「これ、さすがにヤバくない？Aちゃん知らないはずないよね。
えいちゃん、連絡あった？」

「…いや。なにも」

「……大丈夫かな」

「連絡してみるわ」


机に置いてあった自分のケータイを取り出しすぐに電話をかける。




♪〜〜〜〜ピッ
『お客様のお掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』


電話が繋がったと思ったら、無機質な機械のアナウンスが聞こえてくる。


くそ！こんな時に！！！！
苛立って思わずケータイをソファーに投げてしまった。


「…俺、ちょっとカフェ行ってくるわ」

「え？！こんな時に？」


パソコンを閉じてカバンに仕舞い、急いで出かける準備を始めた。
そらは俺のケータイを拾って渡してくれる。


「…サンキュ」


ケータイを受け取って、そのまま玄関に向かう。
こういう時の嫌な予感は当たるものだ。




どうかAがいつも通り、あのカフェにいますように。

なにも気にせずに、笑って会えますように。




自分勝手な考えだけれど。
そう願うばかり。








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