6月のマーチ【エイジ】2

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その日は珍しく、ケータイを家に忘れてしまっていた。



幸い仕事の連絡メールはパソコンから見れる為、特に不便に思うことなく過ごしていたのだったが、、、


「………なんじゃこりゃ」


家に帰って来てケータイを開くと、今まで見たことない数の通知が溢れかえっていた。
これは…恐怖を覚えるレベル

恐る恐る通知を確認していくと、全てインスタの通知のようだった。
ぁぃさんと2ショットで映った写真にコメントが付いている。

__________________
@aaaaa
絶対こいつ。特定しました。

@aaaaa12
動画に映ってた服装と一緒。同じ日だし。

@abbd
エイジに近づかないで！

@adgjm
調子乗んなよブスが

@pjmdw
死ねキモい
__________________

心当たりのないコメントが何百件と続いていて、途中でコメントを見る手を止めた。



なにこれ……





今まで感じたことのない、
他人からの悪意。






どう受け止めればいいのか分からず、そのままケータイの電源をオフしにて何事もなかったように振る舞うが、手の震えは止まらない。


「あっ…」


とりあえず飲み物を飲もうと目の前に置いてあったペットボトルを持ち上げようとするが、そのまま倒してしまい、中身が溢れでる。
ドバドバと中身が溢れていく机と床を見ながら、体は動かずにいた。


どうしよう
怖い…


冷静になればなるほど、恐怖が押し寄せてくる。
足元はあっという間に水浸しになってしまった。







ああ、
そういえば…《エイジ》って書いてあったな。
あのエイジくんの事なのかな。
私、知らない内になにかしちゃったのかも。
打ち上げ会場で会ったっきり会えてないから、今度謝らなきゃ。
そうだ。アバンティーズ さんの動画も見ないと。
その前に床びしょ濡れだし、はやく拭かなきゃ。
なにやってんだ私。
落ち着け、落ち着け、落ち着け。


体は動かないが、脳内で次から次へと思考が回転していく。



自分に何が起きているのかなにも分からないまま、その日ケータイの電源をつけることは無かった。




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