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味わう ページ40

めちゃくちゃ怒られた。
当たり前だけど。

みんな超怖かった。学生の時の3倍は怒られた。

ただ、あれでも優しい方だったと思う。


『もう絶対やめよう』

「そうだな…派手に死ぬ気がしたぜ」

何かしらの処分があってもいいところだが
今度の飲み会奢りで大目に見てくれた先生方は本当に良い人だ。


「で、昨日何があったのかしら?」

「そうだな、二人でこっそりどこで何をしていたのか」

「お聞かせ願いたいな!」


詮索の方がある意味お説教よりも怖かったかもしれない。

「俺は別に教えてもいいけど、砂川がどうしても隠したいみたいだから」

適当なことを言うな!

睨みつけると、なぜか微笑む宇髄くん。
見つめ合うなと囃し立ててくる先生方。


気疲れだらけの生活は、まだまだ続きそうだ。






『なんで当たり前のような顔で私の家に上がり込んでくるのか分からない』

「駄目なのかよ」

宇髄くんは駄目か嫌かとよく聞いてくる。
別にそんなことはないけど、としか答えようがないのでしゃくだ。

わざとやってるんだろう。


「ほら、Aの好きなやつ」

片手で持ち上げるケーキ屋さんの箱。
そんなもので納得するような女だと思わないでもらいたい。

ずっとにこにこしてるし、なんのつもりなんだろう。

『何笑ってるの』

調子狂うんだって。それが目的だろうけど。

「純粋に嬉しいんだよ。
お前も少しは心を開いてくれたかなって」

飾らない笑顔に、ほんの少し胸がきゅっとなる。


『…じゃあ早くケーキ食べよ。お皿出すから』

「おう!」

晴れやかな声に戸惑ってしまう。
宇髄くんの考えることは分からない。


チーズケーキは一人一つ。

『やっぱり美味しいなぁ…』

夢中になって食べていると、宇髄くんはおもむろに手を止めて私を見る。

『食べないの?』

「いや、Aって本当に甘いもの好きだな。可愛い」

どこが可愛いのか分からないけど
愛玩動物を見るような目で微笑むのできっと本心なのだろう。

「あ、疑ってんだろ?」

『そんなことないよ…なんか変な感じがするだけ』

「…そうか」

『…』

大して会話は弾まずに、もくもくとケーキを食べる。

静かな空間がどこか日常感を伴う。

宇髄くんはずっと前から、当たり前に私のところにいたのかな、なんて勘違いをしてしまう。



いけないことかな。

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いのり(プロフ) - ゆんさん» 気に入っていただけたようで嬉しいですっっ( ; ; )応援ありがとうございます、頑張ります!! (2022年2月10日 15時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - めっちゃ好きです、この歪んだ宇髄さん……前から拝読しておりましたが、好みすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも無理のない範囲で更新頑張ってください♪楽しみにしています😌 (2022年2月8日 7時) (レス) id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - *カスミソウ*さん» ありがとうございます♪ここからも拗れまくります!ぜひお付き合いくださいー!! (2022年2月2日 6時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
*カスミソウ*(プロフ) - 読ませていただきました!なんともいえない2人の関係にきゅんとしながら見ております!とっても面白かったです!次の更新も楽しみにしております(*^^*) (2022年1月29日 11時) (レス) @page34 id: b38fa73fcf (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - まっひーさん» かっこいいの分かります(*´꒳`*)コメントありがとうございます! (2021年12月26日 12時) (レス) id: 14af0b5718 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年8月31日 6時

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