リアルで恋、してるんです。【桃】

Story 42 ページ43

.





気がつけばもう当日。
沈んだ気持ちのまま過ごしていたら、待ち合わせの2時間前に。






スマホを手に取って画面を見れば、
【佐久間くんと夜ご飯♡】
と、ご丁寧にカレンダーアプリの通知が表示される。






『……はぁ…………』






佐久間くんに会いたくない、なんて思ったの初めて。
でも、ドタキャンなんて嫌われるようなことしたくないし……。




遊ばれてるのに、嫌われたくないって思うなんて、つくづく彼にゾッコンなんだろうな。







昨日買ったばかりの服に袖を通し、それに合わせてメイクをする。髪はミックス巻きにして、片方だけ耳かけしてピンで止める。






『……なんか、物足りないな…』






その時、パッと目に入ったのがピアス。
普段はピンクの物ばかりを身につけているが、ちょっとした反抗心。黒い薔薇のピアスを耳に通す。







時計を見れば、予定よりも少し早く支度が終わった。する事もないので、そのまま家を出る事に。
ショルダーバッグを持って、新品の靴を履く。







姿見の前で最終確認。
うん、大丈夫、変なところはない。






『……ふぅ、よし。』








クヨクヨしててもしょうがない。
昨日のことなんて忘れて、今日は楽しもう。
なんて言ったって、大好きな推しと会えるんだから。







『いってきます』







そう心に決めて、玄関のドアを開けた。





.

Story 43→←Story 41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す