リアルで恋、してるんです。【桃】

Story 30 ページ31

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10分程待ったところで、奈那に急用が出来た為、そこでお開きになった。突然妹が家に泊まりに来ると連絡を入れてきたらしい。



奈「ナンパとか気をつけてね！？」




『大丈夫だよwありがとうね、またね！』




バイバイと手を振り、奈那は最寄りの駅へと歩いていった。




そのまま待ち続けたものの、佐久間くんが来る気配はない。時間を見れば、終演してから40分が経とうとしていた。





冷やかしだったのかな、やっぱり
そりゃそうだよね、私なんか簡単に繋がれるわけないもんね




あれは彼なりのファンサービスだったのだろう。
ほら、よく今日お持ち帰りして下さいってお願いするとじゃあこの後会おうね？みたいに言ってくれたみたいなやつ、きっとそれなんだろう








『…馬鹿みたい…………』





そう呟いて、帰ろうとした時







「Aちゃん」






何度も聞いてきた声が私を呼び止めた
振り返れば大好きな彼の姿がそこにはあった。






『なんで……』







佐「なんでって、さっき約束したじゃん！また後でね？って」






佐「待たせてごめんね？」







待たされた事なんて関係なくて
本当に本心からあの言葉を言ってくれてたんだってことが嬉しすぎて、首を横に振ることしか出来なかった。






佐「びっくりしてる？とりあえずここじゃあれだし、どこかお店入ろっか」






そう言って佐久間くんの手が私の手を握って歩き出す。
突然の推しの供給に追いついていけず、ずっと着いていくしか出来なかった。






『えっあの、なんで私なんですか……？』







唯一発言できたこの言葉は









佐「え〜？そのうちわかるよ？」









いつもの笑顔ではぐらかされてしまった。




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