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どうしてこんなにも、彼の目は熱くて、逸らせないんだろう
それでいて今は、そのまま消えてしまいそうなぐらい、とても儚い
私が、これ以上冷たく、酷くあしらえば、いっそ嫌ってくれるのかな
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「…迷惑だから。からかってるんでしょ?」
何か言わなきゃ、と口が少し開く彼
「…自分勝手だし、めげないし、冷たくしても意味ないし…嫌いだから。今日はもう帰って」
もう、私なんかに会いに来ないで
電話もしないで。連絡先だって消して欲しい
…これ以上、好きになんてさせないで
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彼を見ると、む、と真一文字に口を結んで
眉は下がりに下がって、シュン…となっているのがわかった
JK「…本当に、ごめんなさい」
1つも、思ってもない言葉を放った私なんかの言葉を、真に受けている彼は、怖いくらいに素直だ
からかうような人じゃない、ってわかってる。
それでも彼はアイドルで。
そして彼をアイドルとしか見れていないわたし。アイドルとしか見ようとしないよう、傷つくのが怖くて。
今にも消え入りそうな声で、ごめんなさい、って呟いて、いつもカードで払っていくのに、多めに現金を置いて
薄い上着を羽織って、席を立つ
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JK「…でもね、ヌナ。俺はヌナのことが好きです」
彼が去り際に、ぽつりと零した一言のあと、ドアが閉まって
そこで初めて、私は涙を流していることに気付いた
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作者名:ましろ。 | 作成日時:2022年7月1日 19時