29 ページ29
.
.
.
2人きりという空間が、とても気まずくて
とりあえず話しかけてみる
「…電話、出れなくてごめんなさい」
JK「こちらこそ、忙しい時にかけてしまってすみません、」
ああ、どこまで優しいんだろう
掛け直さなかったことは、何も言わない
わたしが100悪いのに
JK「…ちょっと、凹みましたけど」
そう言って、少し笑みを浮かべる
この笑顔、大好きだなあ
『嫌われたのかと思いました』って小さく呟いた彼が、何だか子供みたいで、弱々しく見える
私の勝手な行動で、感情で、彼のことを苦しめていたことを今になって知る
本当は、声を聞きたかった、会いたかった。いつだってそう思っていた
でも、声を聞いてしまったら、顔を見てしまったら
抱いてはいけない気持ちが生まれてしまうと思ったから
.
.
「…あの」
JK「?」
キョトンとした顔で、首を傾げる彼はとても可愛らしい
「…そう思うなら、電話かけてこないでください、ツアー中の時とか、そんなこと考えるの、アイドルとしてどうかと、思う……ので」
「ジョングクさんが、そんな顔してたら、…ファンの子達はどう思いますか。……ただの、一般人に嫌われたかどうかで、弱るなんて…」
言い切って、彼を見ると、
元々大きい目をもっと見開いて、驚いたような顔
JK「…そうですね、ダメダメですね。僕は」
無理して笑ってる、わかるんだ。
JK「…よしっ、燃えてきました。ありがとうございます」
勢いよく立ち上がって、支払いを済ませて、ドアの方へ歩いていく
.
.
ふと、彼が座っていた席を見ると、サングラスがまだ置いてあって
「ぁ、待ってこれ!」
壊さないように、高そうなサングラスを持って彼の方へ駆け寄る
ありがとうございます、って受け取る彼に
「…応援、してます」
精一杯の言葉
私には、これしか言えないけど。
ハァ、っとため息が聞こえたと思えば、強く、優しく背中に腕が回っているのがわかる
JK「…へへっ、頑張ります」
一瞬の事だった。
気づけば、マスク越しでもわかるぐらい、笑顔の彼がドアを開けて
微かなベルの音だけが、小さな店内に響いていた
1190人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましろ。 | 作成日時:2022年7月1日 19時