勿論、描けますとも! - 2 ページ19
「コックさん描いてたんですか?」
「そうなんだけど、コレ見てよ。どう思う?」
「えーっと……こっ、個性的でいいんじゃないでしょうか。」
「それ、褒めてる?」
「褒めて……る……つもり。」
「迷ってる時点でもうダメだよね!」
「ウッ……ごめんなさい!」
どう頑張ったらこんな前衛的な絵が生まれるのか想像もつかず、もしかして私が知っている歌とは違う歌で描かれたのではないかとすら思ってしまう程だった。なのでマウスに手を置いて空いているスペースに自分でも描いてみようと思う。
「棒が1本あったとさ。」
「お?」
「葉っぱかな?葉っぱじゃないよ、蛙だよ。」
「まじか。」
歌を口遊みながらマウスで何とか描いていけば、4人の口からは「おお!」だの「ほう!」だのと言葉にならない感嘆が零れ落ちた。これだけで何をそんなに感動することがあるのだろうかと首をかしげながら一通り描き終えれば拍手が巻き起こった。
「あーっというまに……はい、できあがり!」
「やっぱこれくらいは知ってるよなぁ?」
「知らない人いる方が驚きですけど……、もしかして……?」
「その『もしかして』の結果がこれですよ、天赦さん。どうですか。」
「これは酷い……。」
よく分からない人間があの歌を聞いてできあがる作品がこれですか。はあ。そうですか。……そうですか……。ごめんなさい、なんとコメントしていいか分かり兼ねます!すまん!
「棒は縦に書きはじめるし、蛙はまじで蛙書くし、パンと豆でアンパン生み出すし、生年月日書き出すし、全然ちげえからビビったわ。」
「それほとんど俺じゃん!」
「でも全身組よりなんかそれっぽいマークになってるよね。」
「いやいや、天赦ちゃん。それはおかしい。これ見てみ?どこからどう見ても可愛いコックさんやろ?」
「それを言うなら俺の方がちゃんとしてるから!俺のは帽子被ってるから!見てぇ!?可愛いっしょ?」
「可愛くない。」
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作者名:笹森 糺 | 作成日時:2020年7月18日 18時