★練習相手 - 1 ページ16
「キヨ、膝直った?」
「はあ?」
マリメ教えて、と突如連絡をくれたAと予定を合わせ、いざその日を迎えれば開口一番にAはそう言った。そのままアイツは「お邪魔します」と靴を揃えて実況部屋まで一直線に向かっていく。
「おま、ちょ、いきなりなに?膝ってなに?」
「あれ?膝じゃなくて肘だっけ?」
「いや、そうじゃなくて……。」
本当に意味が分からない。マリメだって流行ったのは昔の話で今更やろうとしている意図も分からなかった。もともとAは言葉の足りないことが多いが今日はもっと酷いらしい。ここは俺が聞くしかないようだ。
「なあ、A。」
「なーにー?」
「なんで今更マリメなんかやろうと思ったわけ?新作の林家……じゃなくてぇ!オリガミは?」
「もう終わった。」
「早くね?」
「キヨみたいに実況してないから好きなだけ進められたしねぇ。」
俺より後に新作を始めたはずなのに俺より先に終わっているとか、コイツはいつ寝ているんだろうかと少し心配になる。仕事も忙しいと聞いているが、まあ、倒れる前にうっしーが何とかしてくれるとは思うけど。
「で、なんだっけ?マリメ教えてって言った理由?」
「そうそう。なんで今更教えてなんて言ったの?」
「キヨとフジくんが楽しそうにやってたから、私もやってみたくなったの。」
「……動画見た?」
「見たよ。内容は殆ど覚えてないけど。」
すごく楽しそうだったねと微笑むAに恥ずかしくなって頭を掻いて誤魔化す。あれを投稿していたのはAに出会う前だし、フジと二人で実況しているものだからてっきり見ないものだと思っていた。
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作者名:笹森 糺 | 作成日時:2020年7月18日 18時