★キスをする - 1 ページ14
俺が顔を近づけるとAはぎゅっと眉間にシワを寄せるくらいに力を込めて目をつぶり、緊張で肩をふるわせる。そしてそのまま何もせずその顔を眺めていれば恐る恐る薄目をあけてこちらを確認して笑っている俺を見た瞬間顔を真っ赤にして怒るのだ。その反応は何回みても飽きないし可愛らしいと思うが、その反応を見せないことももちろんある。
「おーい 、Aさーん。お昼だよぉ。」
そう声をかけても彼女が起きる気配はなくスヨスヨと気持ちよさそうに寝息をたてている。一緒のベッドで寝ていても俺が起きた時に起きることはなく自然と目覚めるまで待つかこうやって起こしてやらなければ起きないのだ。
もちろん、それに付き合って寝ている時もあれば今日のように俺だけが起きることもあり、そんな時決まってすることはAの寝顔を眺めることだった。
「ったく……ほんとよく寝るなぁ……。」
子供かよ、と鼻で笑いつつもAの寝顔をよく見るために顔を近づける。普段であればこんな穏やかな顔を間近では見られないので瞼に焼き付けておくことにする。それにしても本当に起きねえな。
「さあて、眠り姫は何して起きたんだっけなあ。……なんだっけ?」
「……寝てる人間に聞きます?普通。」
「ふふっ……だって起きてるから問題ないっしょ?」
「はー……ソウデスネ!」
くそデカため息をつきながらぱちりと目を開けたAに「おはよう」と言いながら頬をつつけば不貞腐れたような声で挨拶が返ってきた。あーあ、これは俺のせいでご機嫌ななめですねぇ。
79人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:笹森 糺 | 作成日時:2020年7月18日 18時