おててつないで、離さない2【d!】【実シ兄者】

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「大丈夫やった？Aちゃん」

「お陰様で、未遂で済みました」



鬱島大は前と変わらない距離感で話しかけてくるが、何考えてるのか分からないので少し距離をとったような対応をした



「ありがとうございます」



これで借りが増えたな…
あの頃であれば直ぐに返せたけど、
今はそんな関係ではない
幼なじみのポジションだったとしても、
彼は攻略キャラ
警戒すべきなのだ



「Aちゃんはどこか部活入るん？」



だがこの男、女に対しての対応はプロ並みなようで



「Aちゃん、確か体育祭のちょっと後くらいまで猶予貰っとるんやったっけ。」



距離の詰め方が上手い
私に話しかけるとき、“名前”を呼ぶのだ
名前を呼ぶ、というのは以外と大切なことで、
名前を呼び合わないカップルが愛情が冷めやすいカップル第1位になっており、80%以上が5ヶ月以内に別れるという結果が出ている
それだけではない



「まだ決まってないです」

「そうなんや、“まだ決まってない”んや。俺が居る部活とかどう？一応俺陸上やっとるんやけど」



私の言ったことを繰り返すこと
これをするだけでもかなり変わってくる
小学生のときからコイツのコミュニケーション能力は凄いとは思ってた。店員さんには話しかけれない癖に。
いまさっき言った名前を呼ぶこと、オウム返しはもちろん、笑顔と頷き、質問、さりげなく相手の仕草を真似することが出来ている
これだけで相手は良い気分になれるのだ



コイツがよく女遊びに成功する理由はそのお陰だ
顔面偏差値で勝負するのなら他の生徒会メンバーの方がモテる
だがこんなに彼女を増やせるのは相手を良い気分にさせるのが上手い



「Aちゃん足も速いし、陸上とか結構良いと思うんやけど…どう？土曜日とか、日曜日だけでもええで？」

「…考えておきますね」



入るつもりはないけどね
個人的には吹奏楽とか気になってるし
吹奏楽は女がほとんどだから攻略キャラにも課金キャラにも会う必要ないし、
結構フリーな部活だから



「もう、久しぶりの2人での会話なんやから、もう少し力抜いてや」

「…抜いてるつもりなんですけど」



「へぇ…にしては前より距離あるな」



…やっぱりかぁ
鬱島大、隠すつもりないのかな
私に対する好感度も、病み度もカンストしてる



「俺ら幼なじみやん。前みたいに話そうや」



鬱島大に首を触られ、とある物に触れられた



それは、“あのとき”のネックレスだ



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