歩む道。 〜With a lot of love〜

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西「行ってきます。」


「いってらっしゃい。」


西「今日だっけ？ランチ。」


「うん。」


西「そっか、楽しんでおいで。
俺も今日は遅いから。先寝てていいよ。」


「うん、なんか軽いもの、作っとく？」


西「あ、いつものスープ、飲みたい。」



たかが、いつものスープと言うのは拓海さんに教わった野菜のスープ。
二人のお気に入りの味。



「うん。わかった。」


西「じゃ。行くね。
あ、気をつけて行くんだよ。なんかあったら連絡して。電車無理そうならタクシーでも…。」


「はい。わかってます。
念の為、着いたらメッセージだけ入れさせてくださいね。」


そういう私に、
ふっと目を細めてポツリと言うたか。



西「ごめん…、鬱陶しいよな。」


「そんなわけないでしょ。
私がしたくてしてることなのに…。

逆にウザかったらごめんなさい。

あ、ほら時間！」


西「やべ、じゃあ…行ってくる。」




さらっと私の頭を撫でて
たかは出かけていった。




過保護、って言葉は少し違う。
心配性？とも違う。



私にも心の傷があるみたいに、
たかにはたかなりの、傷がある。




それは、

‘失うことへの恐怖’

らしい。



何かにのめり込んでるときは忘れられるけど、
ふとした時にチクリと心を刺すような小さな棘があるんだって、前に話してくれた。



だから私はいつも。
返事はなくても
他愛もないメッセージを送る。

私はちゃんとこの世界にいるってことをたかに伝えるために。



あれからだいぶときは流れたけれど、
それが私達の
交わしたりはしない無言の約束だと
私は思ってる。





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




待ち合わせは路地を入ったとこにある素敵なお店。
つきました、
とたかにメッセージを送るとすぐに既読がつく。



せっかくだから
さくらさんもと誘ったランチ。



さ「梨々花ちゃん、何でも食べれるの？」


梨「はい。」


さくらさんは、
もちろんあのスケジュールを立てるために尽力してくれたうちのひとりだから梨々花さんの妊娠のことももちろん知っている。



「あの…。
ありがとうございます。あんな素敵なプレゼント…。
西島さんとほんと感謝だねって話してたんです。」


さ「なに、それで盛り上がっちゃったの？」


とトントンと耳の後ろあたりを指し示す。


「え？」


さ「もうAって30超えてもピュアっていうか鈍いっていうか。」

梨「まぁそれがAさんらしさですけどね。」


と笑う二人。

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