49 side Nissy ページ49
本当にAの言葉はいつも俺に力をくれる。
俺の望むこと、全て叶えたいと本当に思ってくれているのがわかる。
なのに俺はAが望むことをなかったことにするのか?
それはやっぱり違う気がして、俺はAに向き合う。
西「あのさ…。これなんだけど」
バッグのなかからくしゃくしゃになったメモを取りだした。
「これは?」
西「…朱里の連絡先だってスタッフさんに預かった。黙っててごめん」
手渡したその紙をしばらく眺めていたA。
「これ、私に渡すかどうか、かなり悩んだでしょ?」
紙くしゃくしゃだよって笑うA。
西「…うん、悩んだし、なかったことにしようと思った」
「それでよかったのに…」
西「でも、会いたいんだろ?」
「私、たかが嫌なら会わなくていいって言ったよ?」
西「Aが後悔しない方を選んでほしい」
もういいんだってAは言う。
「今までどこで何してるかとかわからなかったけど、朱里さん、やっぱり音楽に関わる仕事してるって知れて良かった。それだけでもう充分かなって。
それになんかいつか会えそうな気もするの。その時までに言いたいこと準備しとこうと私なりに考えてみたんだけど、どう?」
西「あいつのしたことは絶対許せないけど…不幸になれとも思わない。それはAがここにいるからだと思う。だからAがしたいようにしてほしい」
あの時、Aを失っていたらと思うと震えるほどの恐怖だ。
でも今ここに一緒にいることができる。
「もうこれはいらない」
西「うん」
「昨日たかが気になることない?ってきいてくれたじゃない?
その時に頭に浮かんだことが、ふたつあって…」
西「ふたつ?」
「そう。ひとつは朱里さんのこと。」
西「もうひとつは?」
「…もうひとつは、未来のこと」
西「未来?」
「これは本当に私の気持ちの問題なんだけど…」
Aの口から出た言葉は俺が思っても見ないことだった。
「たかは自分の子、欲しいよね?」
西「え?それは、うん。人並みに」
「母親って…どんな感じなのかな?私にもなれるのかな?」
Aの顔から笑顔が消える。
親に愛された記憶が無い。
そんな自分が親になれるのか、自信がない。
そうAは言う。
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(´・ω・`)(プロフ) - 大好きな人は。めちゃくちゃ素敵で何度も読み返してます!できたら、ショートのパスワード教えて欲しいです。 (10月29日 7時) (レス) id: e27e13d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ - 大好きな人は。とてめ素敵なお話でした(^^)♡こちらの作品も1から全て読みたいです!パスワード教えて頂けると嬉しいです!! (2022年11月22日 1時) (レス) id: 7929bd4039 (このIDを非表示/違反報告)
eringi01030214(プロフ) - 先日読み終えたのでいまから見させて頂きたいと思ったらパスワードかかっていたので教えていただきたいです(;;) (2022年11月21日 3時) (レス) id: ea8392449b (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 今から読ませて頂きます♪1から全て読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!!! (2022年11月11日 9時) (レス) id: 6961cbc2a1 (このIDを非表示/違反報告)
eight888loooove(プロフ) - 大好きな人は。読ませて頂きました!ステキなお話で一気読みしてしまいました^ ^他の作品も読ませて頂きたいです!パスワード教えて頂きたいです。 (2022年11月5日 7時) (レス) id: 17095d27b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2020年5月27日 7時