歩む道。 〜With a lot of love〜

48 side Nissy ページ48

並んで歩く、穏やかな時間。



次の交差点はどっちに曲がる？
あのバスに乗ってみたい！
あのお店、入ってみる？



手のひらから伝わる温もりを共有するように。



頬を撫でる気持ちの良い風。
街路樹の葉っぱの隙間から見える空の色。

美味しい、楽しい。
すごい、きれい、びっくり。



いろんな感覚を共有して歩くこの時間がとても幸せだ。





西「ジブリの映画ってすごいと思わない？
大人も子供も楽しめて、長い時を経てもたくさんの人に愛されていまだにテレビで再放送があって、そのたびにある程度の視聴率があってさ。すごいエンターテインメントだと思うわけ」



空と海と街並みが眼下に見える高台。
小さなベンチに二人で並んで座ってぼんやりとゆっくり流れる時を過ごす。



西「同じ時代に産まれても、人の背景は人それぞれでさ。向き合う困難も感じる幸福もみんな違うのに、同じ映画で楽しみを共有できるでしょ？」


何回見ても、結末を知ってても。
感動したり、ドキドキしたり、ハラハラしたり。

見てる時の自分の精神状態とか、年齢とかで、見る視点や感じることが変わったり。


西「ほんとすげぇなって思うのよ。で、俺も作る側の人間として、そういうエンタメを作りたいって思う」



明日を生きる糧になったり、悲しい時に元気を出してもらえたり、一歩進みたいときに背中を押してあげられたり、もちろん、ただ一緒に騒ごうぜっていうのもあり。
俺の作るエンタメがいろんな人のいろんな瞬間に寄り添えるものでありたいなって思う。



西「全く自信、ないけど…作りたい、絶対」



歌を歌い続ける理由、作品にこだわる理由。
日々に追われていると忘れそうになる、俺の根底にある歌が好き、歌で伝えたいっていう気持ち。



「たかの歌声はキラキラ光る魔法なの。込めた想いは必ず届くと私は信じてる」



俺の語ることに耳を傾けていたAが、そう言って俺の肩に頭をよせた。



「辛いことも思うように行かないことも、もう無理だって思うこともたくさんあっただろうし、これからもたくさんあると思うの。

けど、Nissyに関わる人たちみんなが支えてくれる。
もちろん…私もいる。
だから、たかはたかの思うまま生きて。

その先に、最高のものができる未来がきっとある」

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