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西「だってさぁ、ふにゃふにゃしてとろんってして、たか好きとか言っちゃってさ」
「え!私そんなこと言いました?」
西「うん」
「記憶にないんですけど…」
西「そうなの?じゃあ、Aが意識飛ばしちゃうまでのくだり、全部説明しよっか」
意地悪な笑みを浮かべたたかと鏡越しに目が合う。
ほとんど覚えていないとはいえ、体に残る鈍い痛みやたくさんついてた赤い痕、そしてさっき生々しく足を伝ったあの感触の全部が昨日の夜を物語っている。
「…え、いいっ、いいです!あ、ほらっ支度してみんなを見送りに行かなきゃ、ねっ」
西「んー、しょうがないからいいにしてあげる」
クスクス笑うその顔は何年一緒にいてもやっぱりかわいくてかっこよくて、寝癖だらけの髪も頬についたシーツの跡も全部愛おしくて大好きだ。
何があっても、どれだけ時間が経っても。
絶対に変わらないのに…。
くAと体を動かして、たかの腰に手を回す。
おでこを肩に押し付けると息を吐くようにたかはふっと笑った。
西「どした?めずらしいw」
「なんとなく」
西「ふぅん」
よしよしと背を撫でられるとシャワーを浴びながら考えていたことで波立っていた心が穏やかになる。
あのまま顔を見られていたら、何か感じ取られてしまいそうでちょっとだけ怖かった。
その後。
支度を終えた私達はチームNissyのみんなをホテルのロビーで見送って、自分たちの荷物も今日から泊まるここからそう遠くない別のホテルへ移動してもらう手続きを終えた。
西「じゃ…今日はこの辺フラフラしてみよっか」
「うん」
行き先も決めずに二人で自然と手を繋いで歩き出した。
眼鏡もマスクもいらない、人目も気にならない。
手を繋いでいても誰の視線も気にならない。
誰も、私達のことを知らない。
ただの観光客に見える、はず。
西「こんな風にリラックスして歩くの、どのくらいぶりやろ」
隣を見れば、昨日までのピリッとした仕事モードの表情は消えて興味津々というような目で辺りを見回すたか。
「ほんとだね…あ、あのカフェのテラス素敵!」
西「ほんとだ。寄ってみる?」
「いいの?」
西「もちろん、あそこでコーヒー飲もうよ」
「うん!入り口、あっちかな?…っ!わぁ…っ!」
西「え?」
急にかくんと躓いたAを慌てて支えると、道路の溝にヒールが嵌って取れかかっていた。
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(´・ω・`)(プロフ) - 大好きな人は。めちゃくちゃ素敵で何度も読み返してます!できたら、ショートのパスワード教えて欲しいです。 (10月29日 7時) (レス) id: e27e13d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ - 大好きな人は。とてめ素敵なお話でした(^^)♡こちらの作品も1から全て読みたいです!パスワード教えて頂けると嬉しいです!! (2022年11月22日 1時) (レス) id: 7929bd4039 (このIDを非表示/違反報告)
eringi01030214(プロフ) - 先日読み終えたのでいまから見させて頂きたいと思ったらパスワードかかっていたので教えていただきたいです(;;) (2022年11月21日 3時) (レス) id: ea8392449b (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 今から読ませて頂きます♪1から全て読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!!! (2022年11月11日 9時) (レス) id: 6961cbc2a1 (このIDを非表示/違反報告)
eight888loooove(プロフ) - 大好きな人は。読ませて頂きました!ステキなお話で一気読みしてしまいました^ ^他の作品も読ませて頂きたいです!パスワード教えて頂きたいです。 (2022年11月5日 7時) (レス) id: 17095d27b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2020年5月27日 7時