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西島さんのそばで仕事をすることが好きだった。
一番近くで西島さんを支える人でありたかった。
公私ともにパートナーでありたいと願っていた。




微かに燻っていた未練が胸を締め付けたこの数日。


だけど。


今もまだ。



私はこんなにも脆いと
嫌でも自覚してしまったこの数日。

心に残った傷は
100パーセント回復するっていうことは難しいのかもしれない。

ちょっとしたことでふと蘇る何かを
完全になくすことはできないかもしれない。




それでもその暗闇に飲み込まれない術を
私はちゃんと手に入れたはず。

今はちゃんと前を向いて
また自分の足で立っていることを否定したくない。




だって。




ここまで来るのに
たかと二人、とても苦しんだから。




新「もう、戻ってこないんですか?」



「うん…。たぶん、戻らない。
でもね、今の西島さんの周りには彼が信頼してる人たちがたくさんいるから。もちろん、新田くんも含めて。
だから、戻る必要もないんだと思う。」

新「俺なんかまだまだで、いっつも西島ブリザード浴びてますけどね。」

「西島ブリザードって。」




そのたとえ、面白すぎるって二人でくすくすと笑う。




「それにね、今は新しい…」




そこまで言った時
ふと振り返ったたかが、眉を寄せた。




新「あ、やべ。怒られるやつ。」

「え、なんで?」

新「そんなん決まってるじゃないですか、ジェラシーでしょ!」

西「なんだか楽しそうやん。」





にこやかに近づいてきたたか。




新「俺、ちょっと用を思い出しました。あとお願いしますね、Aさん。
ほんと、たくさん、ありがとうございました!」

「え…?ちょ…っ、」



そう言うと新田くんはあっという間にどこかへ行ってしまった。



西「…逃げたな、あいつ。」

「新田くん、素直で良い子だね?」

西「そうだな。そうだけど。」

「ん?」

西「昔はさ、割と流せたんだけど…。
Aがさ、こうして仕事とはいえ男と話すとこ見る機会が減ったからさ、なんかやだ。」

「んん?」

西「要するに…ヤキモチ。」



照れくさそうにふいっと顔を背けたたかの耳が少し赤くて、かわいい。



「お礼を言ってもらってたんです。
一緒に仕事できてありがたいし、嬉しかったな。」




思わず口元が緩んだ私。




西「そっか。」




たかはそう言ってぽんとその大きな手を私の頭に乗せた。

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設定タグ:AAA , Nissy , 西島隆弘   
作品ジャンル:恋愛
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(´・ω・`)(プロフ) - 大好きな人は。めちゃくちゃ素敵で何度も読み返してます!できたら、ショートのパスワード教えて欲しいです。 (10月29日 7時) (レス) id: e27e13d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
- 大好きな人は。とてめ素敵なお話でした(^^)♡こちらの作品も1から全て読みたいです!パスワード教えて頂けると嬉しいです!! (2022年11月22日 1時) (レス) id: 7929bd4039 (このIDを非表示/違反報告)
eringi01030214(プロフ) - 先日読み終えたのでいまから見させて頂きたいと思ったらパスワードかかっていたので教えていただきたいです(;;) (2022年11月21日 3時) (レス) id: ea8392449b (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 今から読ませて頂きます♪1から全て読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!!! (2022年11月11日 9時) (レス) id: 6961cbc2a1 (このIDを非表示/違反報告)
eight888loooove(プロフ) - 大好きな人は。読ませて頂きました!ステキなお話で一気読みしてしまいました^ ^他の作品も読ませて頂きたいです!パスワード教えて頂きたいです。 (2022年11月5日 7時) (レス) id: 17095d27b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2020年5月27日 7時

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