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27 side Nissy ページ27

俺の方へ体を預けてくるA。



「朱里さんだと思うの。きっと。」




ぽつりとそう言った。




西「Aは、あいつに会いたいの?」




と問いかけると、少し考えた後
うんと小さく頷いた。




「何をって聞かれたらわからないけど…会って話をしてみたい。」


西「俺は賛成はできない。

Aに嫌な思いをさせたくないし
傷ついて欲しくない。
敢えて辛い思いもして欲しくないし
思い出しても欲しくない。」



出した声はどこか硬いものだった。




そっか、そうだね…
と静かな声で言ったA。




西「ごめん。」

「なんでたかが謝るの?」

西「俺のほうが余裕なくて、きっと怖いんだ。

こんな押し付けるみたいな言い方したくないのに。Aの想いを尊重したいのに。」




会ってほしくない。
もう過去の傷に触れてほしくない。




ちょっと見かけたくらいで不安定になるくらい、あいつがAにしたことは大きい。
もし、何かあったらと思うと気が気じゃない。




ぐっと唇を噛んだ俺の顔を覗き込んだA。




「私ね、今からすごく重いこと言いますけど。
いいですか?」

西「ん?」

「私ね。
たかが思うよりずっとあなたに依存してる。
だから、たかがこうやって私を守りたいって気持ちで、縛り付けられるのすごく嬉しい。」





うまく言えないんだけど、
って言葉を探しながらAは話す。




「たかの意にそぐわないのなら
朱里さんに会わなくてもいい。

たかがそうしろっていうからじゃなくて
私が私の意志で、たかが思うようにしたいの。

たかがいればほかに何もいらないんだよ。




だから



謝らないで。」





西「A…。」





こういうところ。
本当にAには敵わないって思うところだ。


本心からそう言ってくれているって
信じられる。




「私にとって一番大切なものはたかだから。」




そう言って俺の背中に手をまわす。









「たかを、愛してるの。」









心臓が一瞬止まったかと思った。



こんなの初めてだ。





「なんか言ってくれないと…
恥ずかしくてたまらないんですけど。」





西「うん…。」





何か言おうと思えば思うほど
何も言葉が出てこなくて。





言葉の代わりに
俺はAを強く抱きしめた。

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作品ジャンル:恋愛
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(´・ω・`)(プロフ) - 大好きな人は。めちゃくちゃ素敵で何度も読み返してます!できたら、ショートのパスワード教えて欲しいです。 (10月29日 7時) (レス) id: e27e13d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
- 大好きな人は。とてめ素敵なお話でした(^^)♡こちらの作品も1から全て読みたいです!パスワード教えて頂けると嬉しいです!! (2022年11月22日 1時) (レス) id: 7929bd4039 (このIDを非表示/違反報告)
eringi01030214(プロフ) - 先日読み終えたのでいまから見させて頂きたいと思ったらパスワードかかっていたので教えていただきたいです(;;) (2022年11月21日 3時) (レス) id: ea8392449b (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 今から読ませて頂きます♪1から全て読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!!! (2022年11月11日 9時) (レス) id: 6961cbc2a1 (このIDを非表示/違反報告)
eight888loooove(プロフ) - 大好きな人は。読ませて頂きました!ステキなお話で一気読みしてしまいました^ ^他の作品も読ませて頂きたいです!パスワード教えて頂きたいです。 (2022年11月5日 7時) (レス) id: 17095d27b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2020年5月27日 7時

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