歩む道。 〜With a lot of love〜

14 side Nissy ページ14

ホテルに着いた俺達。



西「車より電車のが早いみたいね。」

「そうですね。」



別行動中のスタッフさん達に
ホテルに着いたことと
先にチェックインしていることを伝えたあと。



フロントでAが困った様子で話してる。




西「どしたの？」


「え？あの。部屋が一部屋足りないんです。
どこかで行き違っちゃったみたいで。」


西「じゃ俺とAが一部屋で使えばよくない？」

「え？」

西「もうみんなに結婚してること言っちゃったし、結構スケジュールハードだからさ
スタッフさんたちにはちゃんと休んでもらいたいからこその一人一部屋の予約でしょ？


俺達は一緒でも構わないし、
みんなに負担がかからないのが一番でしょ？」


「…はい、そうですね。わかりました。」




そう言うとAはまたフロントの人と話し始めた。




そして一つ鍵を受け取る。




「明後日には一部屋空くそうなので、そこへ予約を入れました。」




本当に申し訳なさそうに言うAは
すっかり仕事モードにみえて
どっちかっていうと俺のほうが浮かれてる気がする。



西「いつもと変わんないやん。
一緒のとこに帰るの。」


「そうですけど、なんとなく。
気になっちゃって…。


仕事なのにって。
それに、なんか…。」


西「なんか？」


「浮かれちゃってるの…
顔にでてません？私。」



両手を頬に当ててちらりと俺を見上げる顔が
少しだけ赤い。



その顔は…反則だ。




西「…まぁ、とりあえず部屋行こ。」



何とか平静を装った俺。
Aから部屋番号を聞いてエレベーターに乗り込む。
俺の少し前に立って階数のボタンを押したA。



その背中を見つめてるとAのスマホが鳴る。



「はい、速水です。
お疲れ様です。


へ？
あ…。え…どうしても、ですか？」



ちらりと俺を振り返るA。



ん？と無言で問いかける。
小さく横に首を振ってまた前を向いた。




「…っ、聞こえてます！すみません。

はい、に、しじまです…。
お疲れ様です。」



西「…っ、」




ものすごく照れくさくてくすぐったい。


俺の前で、
Aが西島ですって言うのを聞くことはほとんどなくて、成田で自己紹介したときは、心の準備ができてたけど。

不意打ちは、やばい。






「渋滞…。あと1時間！
わかりました、大丈夫です。
気をつけてくださいね。」




じゃあ、と電話を切ったAの耳だって赤かった。

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