歩む道。7

333 side Nissy ページ33

西「ごめん、やりすぎた。」


荒い息を繰り返すAをベッドに座らせ
床に落としてしまっていたパーカーを拾い、
子供に着せるみたいに頭を通してやる。



頬を赤く染め、目を潤ませてるA。
自分で自分の体をぎゅっと抱きしめてる。



たぶん。


もっと、
って体が疼いてるはず。


俺がAの体にに教えこんだ
感覚をきっと体は覚えてるはず。



もちろん、それは俺だって同じ。


今すぐ押し倒して
体中にキスを落として
全身でAを感じたい。


だけど。



なんとか、残ってる理性を振り絞って
少し乱れてしまった髪をなでて言う。




西「止まんなかった。ごめん。」




Aはふるふると首を横に振った。



「嬉しいよ、触れてもらえて。

私を欲しがってくれてるって
思えるから。」



その言葉すら俺を煽るって、
気づいてないんだろうかと思いながら
ふぅ、と深く息を吐く。



西「俺、先に下行ってるから、
少し経ったらおいで。

いまのAの顔、
すげぇ物欲しそうな顔してるよ。」



「なっ…！」



あわあわしてる
Aをおいて部屋を出た。


下へ降りていくと
拓実さんとかなさんが
朝ごはんの支度をしてくれていた。



西「おはよ。」


か「おはよ、隆弘くん。


Aちゃんはどう？」


西「ん。熱も下がったし。

たぶん…。
気持ちも落ち着いたと思う。」



フラッシュバックのことは
あえてAには聞かなかった。


思い出させるよりも、
この限られた二人の時間を穏やかな気持ちで
過ごしてほしいと思ったから。


それが正しいのか、間違ってるのかは
俺にはわからないけど。



かな「そう。よかった。」



そのうち、Aも降りてきて
かなさんと拓実さんの息子翼くんも一緒に
5人で朝ごはんを食べる。




西「誰かと朝ごはんなんて…


久しぶりだな。
なんか、実家にいた頃思い出す。」





上京して、10年以上経つ。



もうあまり、思い出すことはないけれど、
家族で囲む食卓は
俺の大切な時間だった。



西「家族ってやっぱりいいよなぁ。

子供がいて、愛する奥さんがいて。
好きな仕事ができて。


幸せだよなぁ。」




拓「幸せっていうより、


そうだな、
ものすごく幸せだな。」



にやりと笑う拓実さんと
もうっ、なんてちょっと照れるかなさん。
笑顔のパパとママを見て、
嬉しそうな翼くん。



そんな三人を笑みを浮かべながら見てAに
俺らも幸せになろうな、
と言うと真っ赤になって頷いてくれて
なんか嬉しかった。

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