325 ページ25
たかに、誕生日プレゼントを探したいと言った私を
かなさんが、買い物に連れ出してくれた。
たくさん悩んで、
素敵な万年筆を見つけた。
スマホも、タブレットも、PCも使うけど。
手で何かを書くことも多いから。
考え事をしながら、
悩みながら、
このペンをくるくる回すんだろうな、
なんて想像すると
知らぬ間に笑みが浮かぶ私。
名前を彫ってもらい、
いいプレゼントが見つかってよかったと
かなさんと話していたときだった。
・「速水さん!」
突然後ろから声をかけられた。
鎌倉へきて半年以上が過ぎて。
治療も順調だったし、
日常生活でフラッシュバックが
起きることもなかった。
なのに。
速水さん、と呼ぶ男の人の声に
自分の心がぎゅっと縮んだ感覚がした。
恐る恐る振り返るとそこには、
以前一緒に仕事をしたことがある
スタッフさんがいた。
・「やっぱり速水さんだ。
元気だった?
急に事務所辞めたって聞いてびっくりしたよ。」
そう言いながら私の肩をポンと叩く。
普通なら何でもない程度の
スキンシップ。
なのに、
ぞわりと湧き上がるように感じる
この嫌な感覚と
背中に伝う冷や汗。
「お、久しぶり、です。」
なんとか絞り出した声。
・「なんで辞めちゃったんだろうねって
みんな不思議がってたよ…あ、やっぱり。」
彼は声を小さくして
私に少し近寄って言った。
・「にっしーのマネージャーは激務なもんな。
仕事のことしか
考えてなさそうな人だもんね、彼。」
ぎゅっと掌を握り締めて、
深呼吸する。
落ち着け、私、
と心の中で自分に言い聞かせながら
「そういうわけじゃないですよ。」
と言ったけど、
隣にいたかなさんが私の様子がおかしいのに
気づくのに時間はかからなかった。
か「Aちゃん。
迎え、来てるみたい。急ごう?
すみません、じゃあまた。」
かなさんは私とその人との話を
強制的に終わらせて、
私の肩を抱いてその場から離れた。
575人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時