歩む道。7

303 side Nissy ページ3

黙ってしまった俺に、


「たか？」


と少し不安げに呼びかけるA。


西「ん？」


「どうかした？腰、痛い？」



西「んーん。
昨日ちゃんとメンテしてもらったから大丈夫。」


Aごと、
体を起こすと。


俺がこの部屋に準備してあった服のなかから、
オフタートルの白いニットワンピを
着てることに気づく。


西「かわいいじゃん、それ。」


俺がそう言うと、
照れたように俯いてAが言う。



「あんなにたくさんあったら、
どれ着るか迷っちゃうから、

たかに選んでほしかったのに、
全然起きてくれないし。」



西「じゃ…明日着るのは俺が選ぶことにする。


さ。

朝ごはん食べよ。」



A、ご飯食べれそう？


と聞くと少しならと答えるから
適当に好きそうなものを
ルームサービスで頼む。



窓の外の朝の海がキラキラと光り、
街が目を覚ましていく様を見ながら。


Aの表情が昨日の朝とは
比べ物にならないくらい明るいことが
嬉しい。


昨日の夜、
Aと話したこと。


千晃をライブに呼ぶこと。


スタッフ外れてるのに
勝手なことをしてごめんなさい


そう言って申し訳なさそうな顔をしてるけど、
別に直接ライブに影響が出るわけでもない。



それに。



Aが、
千晃を会場に連れてきたいと思った理由を
聞いてしまったら駄目だなんて言えない。




「後から録画した映像をみることはできる。

でも。


生で、
目で見て、耳で聴いて。
肌で感じて。

そうすると、
心に響くの。」



初めて、スタッフとしててはなく
Nissyのライブを見たから
言えることなんだ、


そう言って微笑むAの目が、
キラキラ光っていて、
まるで、朝日に照らされた海みたいに
とてもきれいだった。

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