歩む道。7

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ホテルをチェックアウトして
二人で車に乗り込む。




西「ドライブ、久々だね。」




さすがにライブの翌日だし、
たかと街を歩くなんてできるわけない。


普通の恋人同士なら買い物行ったり、
水族館行ったり映画見に行ったりするんだろうな、



なんてサングラスをかけた
たかが言う。



その声色に残念そうというか、
ごめんねっていう感情が
読み取れてしまう。



「私、こうやってたかとドライブするの好き。」



さっきコンビニで買ったチョコレートを
はい、とたかの口に運びながら言う。



「二人きりだし。手も繋げるし。

何もしてなくても一緒にいられる
この時間がすごく好きです。」



運転しながらたかが口ずさむ歌を
聞くのも好き。


そう言うと


西「ホントは行きたいとことか、
やってみたいこととかあるんじゃないの？


映画とかテーマパークとか。
買い物とか？」



「映画デートかぁ。
それいいかも！

あとは、のんびりできる場所？
たかが周りの目を
気にしないでいられるとこって言ったら
やっぱり海外…、
あ、またいつかスウェーデン行きたいな。」



すごく楽しかった
あのスウェーデンでの時間を思い出す。



私のピアノとたかの声が
重なったあの時の興奮とか。
初めての誕生日プレゼントとか。


忘れられない思い出がたくさんある場書。


あの時は
恋人ではなかったけど。
気持ちが繋がってるって実感してた。


でもその後、いろんなことがあって。
辛い思いも苦しい思いもして、
今のこの幸せがある。



西「色々あったよな…。

俺、今さ。
Aと同じこと思い出してるかも。

今思うと、
あの遠回りも意味があったのかなぁ、なんて。」



「そうかも、しれないですね。」



西「50とか、60とかになってさ。


もっと今より時間ができたら
スウェーデンだけじゃなくて
色んなとこ行こうな。


子供たちに
パパとママはちょっと旅行行ってくるー
とか言ってさ。

娘だったらさ、
パパお土産買ってきてね、とか言われて
いざ買う時にすっげー悩んだりしてさ。」



ハンドルを握りながら、
楽しそうに話をするたか。



本当にそんな未来が待ってそうな気がしてくる。



「なんか楽しそうだね。」



思わず笑みが浮かんでくる。



西「だからさ。


Aはずっと俺の隣で
そうやって笑ってて？」



たかは片手を伸ばして
私の頬をそっと撫でた。

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