歩む道。7

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「今まで何回も、別れるっていうか…
西島さんと離れようと思ったことがありました。


たぶん、西島さんもそうだったはず。

私達は、
一緒にいるべきじゃないかもって
何度も何度も思った。



少し前にも…。

西島さんの前から
いなくなろうって思ってたんです。」



かなさんは私の話を
静かに聞いてくれた。



「恋人であることも、
マネージャーも辞めて。
全部捨てて、
いなくなろうって。



それが今の西島さんのためになるって。



だけどそれは私の勝手な考えで、
西島さんを傷つけてしまったんです。



2度めのプロポーズまでしてもらって
ふたりでいることを私達は選んだのに、
私がこんなふうになってしまって…。



だから…。」




かな「だから？」



「彼を好きな気持ちに嘘はない。
別れようなんて、
もう思いません。


だけど。



これから大きな仕事がまだまだ
あるし。

彼が仕事に集中するために
今は私がそばにいるべきじゃない、

のかなって。」



かな「そっか…。」



拓実「それ、隆弘と話したの？」



お子さんを抱っこした拓実さんが
奥から顔を見せた。


いつもの穏やかな笑みはその顔にはなくて、
怖いくらい真剣な顔で私に問いかける拓実さん。



「…まだです。


でも、明日
話そうと思ってます。」




拓実「辞めてどうするの？」




「仕事を探しながら、
病院に通おうかと…。



自分が納得できるまで、
心のケアをしたいです。

ちゃんと西島さんのパートナーに
戻れるように。」



私は、二人に話しながら
自分の心の底で思っていたことが
明確になっていくのを感じていた。


人に話してみるって、
すごく大事なんだなって思った。




拓実「そっか…。」


かな「じゃあさ…。


Aちゃん、ここで働かない？」



いいこと思いついた！
みたいな無邪気な笑顔で
かなさんが私の手を握る。




「…え？」


かな「ねぇ、拓実。どう？」



話を聞くと、
ここで働いてる人が旦那さんの転勤で
2月いっぱいで退職するそう。



かなさんはお子さんのお世話もあるから
誰か雇おうかという話になっていたみたい。

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