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久しぶりに訪れた拓実さんとかなさんのお店。


拓実「いらっしゃい。」


穏やかな笑みで私を迎えてくれた拓実さん。


遅い時間もあってか、
私以外誰もいないお店の中。


「遅い時間にすみません。」



かな「とんでもない、誘ったのは私だもん。」


かなさんが隣に座る。



拓実「昨日よりいい顔してる。」



そう言いながら拓実さんが、
私の前にコトリとお皿を置く。



拓実「かながさ、
Aちゃんにこれを作ってやってほしいって。」


そのお皿には、
野菜がたくさん入ったスープが湯気を立てていた。



「おいしそう…。いただきます。」



添えてくれたパンは
かなさんが焼いてくれたものだそう。



スプーンで少し
スープをすくって口へ運ぶと
優しい味が広がる。


「おいしい。」


何かを食べておいしいと感じることは
ここ最近まったくなくて。
おいしいと感じることは
こんなに幸せなことなんだ。


拓実「よかった。
それさ、昔隆弘にもよく作ってやったんだ。」



顔を上げれば、
拓実さんとかなさんが
微笑んでいて。


「ホントにおいしいです。」



ポロリとこぼれた涙を拭って、
私は温かいスープをゆっくりだけど完食した。



「ごちそうさまでした。」



とスプーンを置いた私に
ハーブティーをかなさんが淹れてくれた。


かな「昨日よりは全然いい顔だけど、
今日はなんかちょっと疲れてる?」



「今日、少しだけど仕事ができたんです。


体力すごく落ちてて、
終わったって思ったら
力抜けて座りこんじゃうくらいで。」



かな「そっか。」


かなさんが飲んでいたハーブティーのカップを
置いて私を見た。


かな「ねぇ、Aちゃん?
もしよかったら話してみない?」



「え?」


かな「私達はAちゃんたちがいる世界から
遠くにいる人間だけど、
Aちゃんのこと、大切に思ってる。

もし。
Aちゃんの心に留まっている想いを
吐き出せる人が他にいるのなら無理には聞かない。


だけど、
近い人には言えないこともあるでしょ?」



その言葉に思い当たることはあった。
私の世界はとても狭くて、
今考えてることを誰かに相談すべきか迷っていたから。



かな「適度な距離にいる私になら
話したって誰にも伝わらないよ。

もちろん、
隆弘くんにも言ってほしくないなら言わない。」



「かなさん…。」

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時

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