38 ページ38
.
あんなふうに大野先輩に疎まれ、 松本先輩に不自然と思われながら 私はまだサークルを続けるつもりなの？
「…」
「んじゃーまあ、単刀直入ついでに聞くけど」
「…はい、」
「Aはぶっちゃけ、リーダーのこと好きだよね？」
「えっ！？」
全部お見通しだよ、って目で私を見てる。
「ん？」
「…」
「違う？」
そんなに分かりやすい？
よっちゃんだって気づかれてないのに？
松本先輩の鋭い観察眼に驚きすぎて、ゴマかす気が失せた。
「…あは、フラれちゃいました」
「え、告白したんだ？」
私が頷くと 先輩はとても驚いた顔をした。
大きな目がさらに大きくなる。
「そんなに驚くことですか？」
「あ、…いや、ゴメン。ちょっと意外っつーか」
「ふふ。私も思いますよ。なに血迷ってたんだろうって」
言わなければよかったって何度も後悔したもん。
「や、そーいうことじゃなくてさ。
で？リーダーは なんて？」
「……ありがとう、…って」
「“ありがとう？”」
「はい」
「それだけ？」
「…それだけ、ですね」
あの日の抜けるように青い空が記憶に蘇る。
目にしみるくらいの完璧な青と表情１つ変えない先輩
まだまだ鮮明に残る記憶と痛み。
全然 過去に出来てない。
まだ それほど時は経ってないってことなのかな？
なら、あとどのくらい時間が必要なんだろう
「そっか」
「…」
「まだ…？」
「…」
「まー、すぐには踏ん切りつかねーよな」
「……頑張ってるんですけどね、」
胸が軋んで泣きたくなる。
だけど気持ちを引きずってるのは私だけ。
あんな目で見られて、…私は何をやってるんだろう。
「自分のことしか考えてませんでしたね、私」
「A？」
「……怒られ、ちゃった」
私は先輩にとって煩わしいモノでしかないんだとこんなにはっきりと知らされて。
それなのにまだ私は、性懲りもなく
「珍しいよね、リーダーがあんな言い方するなんて」
「…それは多分、気持ちを無かったことにできない私にイラついたからだと思います」
人の気持ちって、そんなに簡単に切り替えられるものなのかな
そんなのムリでしょ！と開き直りたい気持ちと、
責められて当然だと唇を噛みしめる情けない気持ちが入り混じる。
「かどうかは、聞いてみなきゃ分かんねえと思うけど」
「…」
首を振る。
もうこれ以上 先輩のウンザリした顔を見たくない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 592人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuihibiki(プロフ) - ちょこたろーさん» 人それぞれですよね。さまざまな出来事に対しての感じ方も受け取り方も、私の書いたあいさつ文に当てはめる情景も。このオハナシがどんなリハビリになってるのかは分かりませんが、完結までもう少しお付き合いくださいませ。 (2019年11月17日 21時) (
レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
ちょこたろー(プロフ) - いつも読ませてもらってます。挨拶にある今の気持ちが、うなずけすぎて思わずコメントさせてもらいます。飲み込めていないことが多すぎてやっぱり正月から止まってる。流れはね頭で受け入れているんだけど心はねもう容量オーバーで。だからこのお話が私のリハビリです。 (2019年11月14日 15時) (レス) id: c8a1445fc4 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - さわさん» この大野先輩は主人公ちゃんにとってなかなかキツイよなあーって思いながら書いてますけど、しばらく？ずっと？こんな感じでいくことになりそうです(^_^;) (2019年11月10日 9時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - きっとニヤニヤしてしまう展開が待ってるんだろうけど、主人公ちゃんの心が苦しそうで悲しくなります。大野先輩お願いしますよ〜。 (2019年11月9日 16時) (レス) id: 759a393a86 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - nyurika513さん» ありがとうございます（笑） (2019年11月2日 0時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuihibiki
| 作成日時：2019年9月23日 0時
