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「あれって大野さんじゃね？」
「え？」
二宮先輩の指す方向を見る。
確かに。…それに、あれはどう見ても
「告白されてんな、ありゃ」
「……あっち行きましょ」
「いいじゃん別に」
告白のやり取りなんて見たくない聞きたくない。
気まずいだけ。
でも二宮先輩はニヤニヤ顔。ホント悪趣味、この人。
“好きです。付き合ってください”
震えるか細い声が聞こえてきて…ああ、逃げ遅れた、と私はため息を飲み込んだ。
ヘタに動けない無音の中、私は無意味に両手で口を塞ぐけど、多分 塞ぐべきだったのは目と耳だったんだと思う
『ごめん』
勇気を振り絞った女のコに 申し訳なさそうに謝る先輩の声が聞こえる。
『…』
『…ごめん』
『付き合ってる人、いるの？』
『いない、けど好きな子はいる。だから ごめん』
先輩の声は苦しげ。
告白した女のコを気遣って、誠心誠意謝ってるって分かる。
少し身を乗り出して先輩の姿を覗き込んだら、その表情は苦しげに歪んでた。
「…」
私の時とは言葉も態度も…表情すら違う。
女のコを見つめる瞳は、あの日の先輩と全然違う。
『…そっか…』
笑みを浮かべようとして、でも出来なくて
女のコは涙を堪え頭を下げた。
「…」
…この女のコと私、立場は同じ。
気持ちを受け入れてもらえず拒否された。
同じはずなのに。
どうして私にはその言葉をくれなかったの？
告白にこんなふうに答えがあったら
例えそれが一方的だとしても、私の気持ちを納得させ終わらせる材料になったはずなのに。
「好きなヤツいるんだってさ。大野さん」
「……みたいですね」
「フフ。誰なんだろうな」
「二宮先輩も知らないんですか？」
「ん？どーかな」
「…」
「ま、なかなか気持ち見せねえ人だしね」
「…」
フラれるなら私もこんなふうにフラれたかった。
断りの言葉が本当かなんて、正直どうでもよかった。
断られる理由があれば結論は受け入れられる。それだけなのに。
なのに、どうして私には‘ありがとう’しか言ってくれなかったの？
…私1人が、こんな風にいつまでもモヤモヤを抱えてる。
「ズルい…」
「ん？」
「……ヒドイですよね、」
「何が？」
「いえ、……何でもないです」
比べてもしかたない。
分かってる。
それでもどうしようもない。
目の前の悲しみに耐えるこの女のコを羨ましく思う私がいる。
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yuihibiki(プロフ) - ちょこたろーさん» 人それぞれですよね。さまざまな出来事に対しての感じ方も受け取り方も、私の書いたあいさつ文に当てはめる情景も。このオハナシがどんなリハビリになってるのかは分かりませんが、完結までもう少しお付き合いくださいませ。 (2019年11月17日 21時) (
レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
ちょこたろー(プロフ) - いつも読ませてもらってます。挨拶にある今の気持ちが、うなずけすぎて思わずコメントさせてもらいます。飲み込めていないことが多すぎてやっぱり正月から止まってる。流れはね頭で受け入れているんだけど心はねもう容量オーバーで。だからこのお話が私のリハビリです。 (2019年11月14日 15時) (レス) id: c8a1445fc4 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - さわさん» この大野先輩は主人公ちゃんにとってなかなかキツイよなあーって思いながら書いてますけど、しばらく？ずっと？こんな感じでいくことになりそうです(^_^;) (2019年11月10日 9時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - きっとニヤニヤしてしまう展開が待ってるんだろうけど、主人公ちゃんの心が苦しそうで悲しくなります。大野先輩お願いしますよ〜。 (2019年11月9日 16時) (レス) id: 759a393a86 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - nyurika513さん» ありがとうございます（笑） (2019年11月2日 0時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuihibiki
| 作成日時：2019年9月23日 0時
