序章〜失踪前夜〜2 ページ3
『戦い』という名の鍛錬が終われば、2人はただの兄弟子と弟弟子の関係に戻る。
月は士門の首筋に向けていた刀を退けると、呪装を解き…鞘に刀を仕舞い、座り込んでいる士門に手を差し伸べた。
『…また、強くなったな。今回は何度かヒヤリとさせられた。』
弟の成長を素直に喜ぶ兄のように、優しい笑顔を浮かべながら。
その手を取り、ゆっくりと立ち上がる士門は矢張り悔しそうな顔をして…ため息混じりに言う。
「まだまだだ。お前から絶門符を外させられないようでは…。」
士門の目線の先にある…月の足と腕に貼り付けられた霊符。
『絶門符』には身体的な機能を著しく制限する作用があり…
それを付けた状態では、戦闘どころか日常動作をするだけでもかなりの負担となる。
それを付けた状態で先程までの洗練された動きを実現していたとなれば、矢張り実力は士門より月の方が上なのだと言わざるを得ない。
そんな状態の月に今回の勝負も含め、今のところ一度も月を相手に白星を挙げていない士門は焦りを覚えていた。
いつまで経っても埋まりそうにない…兄弟子との実力差を。
そんな士門の、凝り固まったような険しい顔付きを見…月はそっと肩に手を抜き、力を抜けと言わんばかりに言った。
『…お前よりずっと幼い頃から鍛錬を続けてきたんだ。そう簡単に勝たせてやるつもりはない。だが…お前は自分で思っているよりもかなり早い速度で成長している。…自信を持て。』
『お前もヤツも、経験の差なんかをもろともしない天才だが…経験がものを言う時もある。今回や、今までの負けはその教訓だと思えば良い。』
必ず、お前は強くなる…遠回しな言葉にそんな期待する気持ちを込めて。
「…あぁ。次やる時には絶対、お前に絶門符を外させてやる。」
士門も、そんな月の思いをしっかりと受け取り…爽やかに笑った。
『…楽しみにしている。』
そんな士門の笑顔に、月もまた嬉しそうだった。
陰陽師とケガレによる、血で血を洗うような激しい戦いの中…
同じ師を仰ぐ同士と、切磋琢磨し…ささやかながら幸せな時間を過ごしていた2人。
幸せであったからこそ…気付かなかった。
『…そろそろ時間だ。すまない、士門。今夜は送ってやれないが…気を付けて家へ帰れよ。』
「？…こんな時間から任務か？」
『あぁ。今回はかなり長期になる。』
「…そうか。気を付けて行けよ。」
『…わかっている。』
この、ささやかな幸せに満ちた夜が…
『…必ず無事で帰るから、心配するな。』
少年…弥刀 月の姿を見る…最後の夜となることを。
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月(プロフ) - 東京喰種さん» ご指摘ありがとうございます。私の麒麟のイメージって中国の伝説の生き物の方が強くて…勉強不足です。反省いたします。土の方で技をどうにか考えてみますが、出来なかったらすみません。よろしければご意見などお寄せいただけると助かります。 (2018年6月7日 20時) (
レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
東京喰種 - 麒麟は陰陽道では土なので雷は関係ないです…。雷は木行…。まあ、水行の天后が銃を出現させてるんでどうとでもなるかもしりませんが (2018年6月7日 20時) (レス) id: a39dd38ad9 (このIDを非表示/違反報告)
東京喰種 - ？ これ、双影の陰陽師のリメイク版だったと思いましたが、変更したんでしょうか。麒麟が式神だったり旧版の双影の陰陽師の設定が一部使われているようですが… (2018年6月7日 14時) (レス) id: a39dd38ad9 (このIDを非表示/違反報告)
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