拉致 ページ25
男を睨みつけながら、周りの気配に集中した。
…おかしい。目の前に三人いるのに、あともう一人知らない気配と匂いがする。
一体どこから…。
『っ…!!業!!!』
「A!?」
前のやつに軽く蹴りを入れ、咄嗟に業の手を引く。
その瞬間、ガンッと頭に強い衝撃が伝わった。
ドロリと生暖かいモノが頭から垂れる。
「へぇ。これモロに食らっても倒れねぇのかよ。化け物か。」
『ハッ。ご名答。生憎だが、私は人間じゃないんでね。』
そうは言ったが、さすがにふらつきはしてしまう。確かに鬼虎は力こそ強いが、夜兎のような戦闘民族というわけではない。
だからまあ、攻撃はそこそこに効く。
だがまともに喧嘩できるのは、おそらく私と業のみ。
こりゃ、結構厳しくなるかもしれやせんねィ。
殺さない程度に、ってのがまた難しいんでさァ。
業も喧嘩をおっぱじめたらしく、さっき私が軽く蹴った奴の頭を電柱にぶつけていた。
うわ、痛そっ。
「おいおい、よそ見してていいのかよ?」
『生憎、そんな棒っきれに負けるような鍛え方はされてねェんでね。まして、お前みたいなヒョロっちい奴なんかにゃ負けやしねェ。』
相変わらず鉄パイプを振り回す奴を相手しながら、他の奴らに目を向ける。
……今ここにいるだけで、二人だな。仲間がいるかは知らねぇが、さっさと片付けて残り二人もやらねえと。
「おーい、A。そっち加勢する_」
『業!!!』
こっちを振り向いた業の後ろで、業にやられた奴が起き上がる。
名前を呼んだ時にはもう遅く、業はそのまま後頭部を殴られ、倒れてしまった。
ちっ、油断した。電柱に頭ぶつけたんだから、しばらく寝てろってんでィ。
「あとはコイツだけだな。おい、女さらえ。コイツもやったら、一緒にさらうからよ。」
「ちょ、何…ムググ!」
『茅野さん!』
茅野さんの元へと行こうとするが、目の前にいるコイツが邪魔で近づけない。
後ろにいるやつにも警戒はしているものの、二対一ともなると厄介だ。
……ここは狭いうえに、皆に被害が出るかもしれねえから迂闊に動けない。
斬り捨てられたらいいんだが、刀も持ってなけりゃ殺すわけにはいかないってのが難儀な話だ。
小さく舌打ちを漏らした瞬間に、杉野と渚もやられてしまった。
そして、そっちに気を取られたのが運の尽き。
『杉野!なぎ___』
後頭部と脇腹に強い痛みを感じると共に、私の視界は傾き、誰かに抱えられたところで暗転した。
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白猫 - まじで面白いです。更新楽しみにしています。 (2019年10月7日 16時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - 銀魂と暗殺教室のコラボ→神!!! つまりこの小説神!!!早く続きが読みたいです気になります!更新頑張ってください。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 沖野猫松さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて、とても嬉しいです!これからも更新、頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 47c8e13314 (このIDを非表示/違反報告)
沖野猫松 - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 18時) (レス) id: 40ce46605e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年7月21日 21時