検索窓
今日:33 hit、昨日:27 hit、合計:97,392 hit

拉致 ページ25

男を睨みつけながら、周りの気配に集中した。


…おかしい。目の前に三人いるのに、あともう一人知らない気配と匂いがする。


一体どこから…。


『っ…!!業!!!』

「A!?」


前のやつに軽く蹴りを入れ、咄嗟に業の手を引く。

その瞬間、ガンッと頭に強い衝撃が伝わった。


ドロリと生暖かいモノが頭から垂れる。


「へぇ。これモロに食らっても倒れねぇのかよ。化け物か。」

『ハッ。ご名答。生憎だが、私は人間じゃないんでね。』


そうは言ったが、さすがにふらつきはしてしまう。確かに鬼虎は力こそ強いが、夜兎のような戦闘民族というわけではない。

だからまあ、攻撃はそこそこに効く。


だがまともに喧嘩できるのは、おそらく私と業のみ。


こりゃ、結構厳しくなるかもしれやせんねィ。


殺さない程度に、ってのがまた難しいんでさァ。


業も喧嘩をおっぱじめたらしく、さっき私が軽く蹴った奴の頭を電柱にぶつけていた。

うわ、痛そっ。


「おいおい、よそ見してていいのかよ?」

『生憎、そんな棒っきれに負けるような鍛え方はされてねェんでね。まして、お前みたいなヒョロっちい奴なんかにゃ負けやしねェ。』


相変わらず鉄パイプを振り回す奴を相手しながら、他の奴らに目を向ける。

……今ここにいるだけで、二人だな。仲間がいるかは知らねぇが、さっさと片付けて残り二人もやらねえと。


「おーい、A。そっち加勢する_」

『業!!!』


こっちを振り向いた業の後ろで、業にやられた奴が起き上がる。

名前を呼んだ時にはもう遅く、業はそのまま後頭部を殴られ、倒れてしまった。


ちっ、油断した。電柱に頭ぶつけたんだから、しばらく寝てろってんでィ。


「あとはコイツだけだな。おい、女さらえ。コイツもやったら、一緒にさらうからよ。」

「ちょ、何…ムググ!」

『茅野さん!』


茅野さんの元へと行こうとするが、目の前にいるコイツが邪魔で近づけない。

後ろにいるやつにも警戒はしているものの、二対一ともなると厄介だ。


……ここは狭いうえに、皆に被害が出るかもしれねえから迂闊に動けない。

斬り捨てられたらいいんだが、刀も持ってなけりゃ殺すわけにはいかないってのが難儀な話だ。


小さく舌打ちを漏らした瞬間に、杉野と渚もやられてしまった。


そして、そっちに気を取られたのが運の尽き。


『杉野!なぎ___』



後頭部と脇腹に強い痛みを感じると共に、私の視界は傾き、誰かに抱えられたところで暗転した。

肩書き→←修学旅行二日目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
135人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白猫 - まじで面白いです。更新楽しみにしています。 (2019年10月7日 16時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - 銀魂と暗殺教室のコラボ→神!!! つまりこの小説神!!!早く続きが読みたいです気になります!更新頑張ってください。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 沖野猫松さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて、とても嬉しいです!これからも更新、頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 47c8e13314 (このIDを非表示/違反報告)
沖野猫松 - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 18時) (レス) id: 40ce46605e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:藍夜 | 作成日時:2019年7月21日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。