試し斬り ページ17
渚side
理事長先生がここに来たあと、鬼山さんは元気よく職員室に入り、殺せんせーを呼び出した。
そして今、校庭では皆に見守られながら殺せんせーと鬼山さんが対峙している。
『じゃあ…行きやすぜ、殺せんせー。』
「はい、いつでも来てください。先生、準備万端ですから。」
完全に舐めている先生に対して、鬼山さんは対先生用の刀に手をかけ、静かに腰を落とした。
そして誰かが少し動いた瞬間に、鬼山さんの姿が消えた。
正確に言えば、一緒にして殺せんせーの前へと移動していた。
殺せんせー程ではないものの、僕らの目では追うのが難しい速さ。
鬼山さんはすかさず刀を抜き、殺せんせーに斬り掛かる。
でも、殺せんせーはあっという間に彼女の背後に周り、触手で捕らえようとした。
そう、"した"んだ。
鬼山さんは自分に向けて伸びる触手を蹴飛ばすと、そのままの勢いで体を回転させ、殺せんせーの伸びた触手を斬り落とした。
そして着地した瞬間にまた地面を蹴り、間合いを詰めて刀を振るう。
僕らとは次元が違うその戦いに、僕らは目を疑い、呆気に取られていた。
あのカルマ君でさえ、この戦いに見入っている。
鬼山さんの目はまるで獲物を見つけた獣のように鋭く、殺せんせーを捉えていた。
さすが別の世界から来ただけはあるし、僕らと歩んできた人生が違っている。
普通の人間だったら、ここまで殺せんせーを追い込めないはずだ。
…もしかしたらこのまま、鬼山さんが殺してしまうかもしれない。
そう考えた時、僕の胸が何故かツキりと痛んだ。
僕が不思議に思っているうちに、鬼山さんはどんどん殺せんせーに斬り掛かる。
でも、ふとした拍子に鬼山さんの動きが止まった。
そして刀を腰に差し直すと、殺せんせーにふわりと笑顔を向ける。
『ありがとうごぜぇやした。今の実力じゃ先生は殺せやせん。でも、こいつの性能はわかった。
殺すの楽しみにしててくだせぇよ、殺せんせー。』
「はい、楽しみにしていますよ、鬼山さん。それにしても、さすが真選組一番隊副隊長です。動きが違いますねぇ。」
『やめてくだせェ。誉めても何も出やしませんぜ。』
そう言って笑った鬼山さんは、不意に僕らの方を向くと、笑顔のまま口を開いた。
『皆で絶対殺しやしょうね、卒業までに。』
"皆で"
きっと鬼山さんは、一人で殺そうだなんて考えてなかったんだ。
僕らE組の全員で殺すことを、考えてたんだ。
なんか、凄い人だな。鬼山さんって。
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白猫 - まじで面白いです。更新楽しみにしています。 (2019年10月7日 16時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - 銀魂と暗殺教室のコラボ→神!!! つまりこの小説神!!!早く続きが読みたいです気になります!更新頑張ってください。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 沖野猫松さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて、とても嬉しいです!これからも更新、頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 47c8e13314 (このIDを非表示/違反報告)
沖野猫松 - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 18時) (レス) id: 40ce46605e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年7月21日 21時