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そらちぃside
『貸して。洗って返すから』
「いいのいいの。ほら、食べよ」
ハンカチをポケットにしまってAの手を引き、二人で窓側の壁に腰掛けた。
『ねえそら』
「ん?」
『私、えいちゃんに嫌われたかな』
「なんで?」
『だって、言うでしょ、どうせ。彼女さんが』
Aが言うのは、さっきのことだろう。あの子なら言い兼ねない。
「どうだろうね」
『別に言葉濁して気使わなくていいよ。
「…そっか」
えいちゃんにわざと嫌われて、忘れようとしてるのだろうか。
『早く食べちゃわないと。時間なくなるよ』
「あ。こら。ピーマン乗せんな」
自分が嫌いなピーマンを俺のサンドイッチに乗せ始めるもんだから、ぺちっと頭を叩いてやった。
『ちょっと、怪我人』
「うるさい」
。
Aside
「どういうこと」
『…ごめんなさい』
ほらやっぱり。
エイジに呼び出されて何かと思ったら、やっぱりその話だ。さほど目線は変わらないから、私は床を見ていた。
『でも私はビンタなんてしてない。むしろ、っ…いや、何でもない』
「とにかく。もうやめて。近づくと泣くから」
『どうもすみませんでした』
すごい態度だったからか、エイジは廊下に出るなり舌打ちをしていた。それを聞いて自分の顔が歪んでいく。
『…はぁ』
「一緒に帰ろ?」
『うわっ!』
「なに(笑)」
ため息をついて鞄に机の中身を入れていると、すぐ脇から明るい声。そらだった。
『びっくりさせないでよ、もう…』
「何って?」
『同じだよ。近づくなって』
「そっか」
『いいの、これで』
声が出なくて、一拍置いて口を開いた、
『もう、今日で終わりだから』
「じゃあさ____何で泣いてるの?」
『え?あ…』
頬を伝う涙を必死に拭っても、拭い切れない涙は床にぽたぽたと落ちていった。
『うぁぁっ…!』
堪えていたものが全部出ていくような、変な感覚だった。
私は膝から崩れ落ちていた。
「泣かないで。ね?」
『うっ、げほっ、っ』
そんな優しい声で言わないで。思い出しちゃうから。
「ねえ、俺の今の気持ち分かる?」
『な、に____』
ほんのわずかに香るそらの匂いと、少し触れた柔らかい感触。整った顔がどアップになっていて、私は唖然としていた。
「俺は、ずっと前から同じ立ち位置なんだよ。A」
『どういう…』
「俺じゃ不満?」
何かが変わったような気がした。
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あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2017年11月17日 14時